2003 Fiscal Year Annual Research Report
マントル及び海洋地殻構成鉱物の高圧相平衡とマントル深部の化学的不均質
Project/Area Number |
15204049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糀谷 浩 学習院大学, 理学部, 助手 (60291522)
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Keywords | 高温高圧実験 / 熱測定 / ラマン分光 / ペロブスカイト / カルシウムフェライト / 酸素欠陥 / 核磁気共鳴 / マントル |
Research Abstract |
平成15年度には以下の研究を行い、下に示す成果を得た。 1.レーザーラマン分光装置(日本分光(株)製)を購入し、微小鉱物のラマンスペクトルを取って分解能等を検討し、準備実験を完了した。 2.カルシウムフェライト型CaAl_2O_4を高温高圧下で合成し、そのラマンスペクトルを取り解析した。このラマンスペクトルを用いて、格子振動モデルに基づき、熱容量とエントロピーを計算した。また当研究室の高温熱量計を用いて、カルシウムフェライト型CaAl_2O_4のエンタルピー測定を行った。これらのエントロピーとエンタルピーの結果を用いて相平衡関係を熱力学的に計算し、高温高圧実験によって決められた高圧相平衡関係と比較検討した。 3.複数の異なる組成を持つMgSiO_3-MgAlO_<2.5>系ペロブスカイト固溶体を超高圧高温下で合成し、ラマンスペクトルを取って解析した。これらのペロブスカイト相は、組成分析から酸素欠陥を持つと推定された。これについてより確定的な実験的証拠を得るために、Al-NMRの測定を行った(海外共同研究者のJ.F.Stebbins教授との共同研究)。その結果、Alに三種類の配位があることが明らかになり、ペロブスカイト相中の酸素欠陥の存在が明確になった。また、この固溶体の組成と原子置換の様式との関係が調べられた。 4.焼結ダイヤモンドアンビルを加圧するため、高圧セルの開発などの準備実験を行った。 5.当研究室の高温熱量計による熱測定で従来から用いていたdifferential drop-solution法のほかに、新しい測定法としてbubling法とdrop-solution法を同時に行う測定法を開発した。この方法によって、従来は熱測定が困難であったチタン含有相や炭酸塩、水酸化物の精密な熱測定が可能になった。そこで、高圧高温下でtitanite型CaTiSiO_5-CaSi_2O_5固溶体を合成し、このbubling+drop-solution法を用いて熱測定を行った。その結果、このtitanite型固溶体は理想固溶体とみなせることが明らかになり、またこの熱測定データから計算されたCaTiSiO_5-CaSi_2O_5系の高圧相平衡関係が高温高圧実験による結果とよく一致することが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kojitani, H.: "Raman spectroscopy and heat capacity measurement of calcium ferrite type MgAl_2O_4 and CaAl_2O_4"Phys.Chem.Minerals. 30. 409-415 (2003)
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[Publications] Stebbins, J.F.: "Aluminum substitution in MgSiO_3 perovskite : multiple mechanisms by ^<27>AlNMR"Am.Mineral.. 88. 1161-1164 (2003)
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[Publications] Sugawara, T.: "Heats of mixing of silicate liquid in the system diopside-anorthite-akermanite, diopside-anorthite-forsterite and diopside-silica"Am.Mineral.. 88. 1020-1024 (2003)
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[Publications] Akaogi, M.: "High-pressure transitions of diopsode and wollastonite : phase equilibria and thermochemistry of CaMgSi_2O_6,CaSiO_3 and CaSi_2O_5-CaTiSiO_5 system"Phys.Earth Planet.Inter.. (in press)(5月発行予定). (2004)
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[Publications] Sugawara, T.: "Calorimetric measurements of fusion enthalpies for Ni_2SiO_4 and Co_2SiO_4 olivines and application to olivine-liquid partitioning"Geochim.Cosmochim.Acta. 67. 2683-2693 (2003)
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[Publications] Akaogi, M.: "Calorimetric study on high-pressure transitions in KAlSi_3O_8"Phys.Chem.Minerals. 31. 85-91 (2004)
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[Publications] 赤荻正樹: "新しい高圧力の科学(毛利信男編)第5章第2節"講談社サイエンティフィク. 322 (2003)