2004 Fiscal Year Annual Research Report
マントル及び海洋地殻構成鉱物の高圧相平衡とマントル深部の化学的不均質
Project/Area Number |
15204049
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糀谷 浩 学習院大学, 理学部, 助手 (60291522)
|
Keywords | マントル / 海洋地殻 / ペロブスカイト / ホランダイト / 高圧相平衡 / 超高圧高温実験 / エンタルピー / エントロピー |
Research Abstract |
平成16年度には次の研究成果を得た。 1.超高圧装置ガイドブロックを設計し日立金属(株)に製作を依頼した。また油圧制御用の自動圧抜バルブユニットの製作を泉陽(株)に依頼した。これらを当研究室の超高圧発生装置に組み込み、圧力約28GPaまで、温度1600℃までの超高圧高温発生実験を行った。 2.マントルに沈み込む海洋地殻におけるカルシウムの挙動を明らかにするために、CaMgSi_20_6とCaSiO_3の詳細な高圧相関係を調べた。1600℃では、CaMgSi_2O_6は23GPaでMgSiO3ペロブスカイトとCaSiO3ペロブスカイトに分解し、CaSiO_3ペロブスカイトは14GPa以上で安定になることが示された。さらにCaSiO_3の高圧分解相の一つであるCaSi_2O_5 titaniteの安定領域を決定した。また昨年度に得たtitaniteの熱力学データを使って、熱力学計算によってこれらの相関係を検討した。 3.カルシウムと同じアルカリ土類元素であるストロンチウムのケイ酸塩SrSiO_3の高圧相関係を調べた。約20GPa以上で六方晶ペロブスカイト相が安定であることを高圧X線回折実験で明らかにした。また15-20GPaで出現する新しいSrSi_2O_5相の構造解析を行い、BaGe_2O_5高圧相の一つ(lll相)の構造と同一であることを解明した。 4.マントル中のカリウム、ナトリウムのホスト相を調べるために、KAlSi_3O_8ホランダイトの相関係と熱力学的性質を調べた。転移エンタルピーから計算されたKAISi_30_8の相平衡関係は高圧実験の結果とほぼ一致した。さらにKAISi_3O_8-NaAlSi_3O_8系の相平衡を25GPaまでの圧力下で異なる温度で調べ、KAlSi_3O_8ホランダイトへのNaAlSi308成分の固溶度が温度によって大きく変化しないことを示した。この結果、NaAlSi_3O_8ホランダイトがマントル深部に存在する可能性が極めて低いことが明らかになった。 5.下部マントルの深さでは、沈み込む海洋地殻中にカルシウムフェライト類似構造の六方晶系相が安定に存在することが研究代表者らの以前の研究によって示された。この六方晶系相の熱力学的性質を明らかにする目的で、MgAl_2O_4-CaAl_2O_4系の六方晶系相を合成し、ラマン分光測定を行い、そのスペクトルデータを基にKiefferモデルによって熱容量とエントロピーを計算した。
|
Research Products
(7 results)