2004 Fiscal Year Annual Research Report
非弾性散乱の利用によるサイト・価数・スピンを選択したXAFS分光の開発
Project/Area Number |
15205002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇田川 康夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00004458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 久史 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60250833)
渡邉 昇 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90312660)
七尾 進 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60013231)
渡辺 康裕 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80182955)
河村 直己 高輝度光科学研究センター, 研究員
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Keywords | X線非弾性散乱 / X線ラマン散乱 / XAFS / スピン分解XAFS |
Research Abstract |
本研究では感度・分解能を上げたX線非弾性(ラマン)散乱分光器を製作し、共鳴条件を利用して価数・サイト・電子状態・スピン等を選択したXAFS(X線吸収微細構造)分光を実現することを主な目的としている。 その主要研究手段であるX線分光器の主要部分は既に林久史の平成14-15年度の科研費若手Aによって製作を終わり、本年度では分光結晶を整備して測定可能なエネルギー範囲を大幅に拡げる、エレクトロニクスを整備する等を行った。 そうした機器を第三世代放射光施設であるSPring-8に持ち込み、BL37、BL39,BL47等のビームラインにおいて実験を行い、以下の成果を得た。 1.製作した高感度・高分解能X線発光スペクトルの性能チェックを行い、充分な感度・分解能で測定できることを確かめ、種々のMn化合物の励起-発光二次元マップを作成した(論文1)。 2.上記のうち、特にMnOについて詳細な解析を行い、スピンの方向ごとにX線吸収スペクトルを導出することに成功した(論文5)。 3.高温超電動物質であるNd2-xCexCuO4のK吸収端付近で励起したX線非弾性散乱の解析からCeドープによる電子状態の変化について研究した。(論文2) 4.これまで遷移金属のK吸収に限られていたX線非弾性散乱による寿命幅フリー分光を希土類元素のL吸収にはじめて応用し、禁制遷移である2p→4fを見出した(論文4)。 5.共鳴・非共鳴X線非弾性散乱スペクトルから電子状態に関して得られる情報について議論した(論文3,7)。
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Research Products
(6 results)