2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15205003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高塚 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70154797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 浩 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302814)
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Keywords | 量子カオス / 波束動力 / トンネル現象 / 量子動力学 / クラスター / 内部空間 |
Research Abstract |
本研究は、分子科学において未開拓領域である準メゾスコピック系分子の量子ダイナミクスの基礎理論を発展させ、それに基づく新しい量子状態・物性の探索を行うことである。研究は順調に展開されており、本年度は以下の成果があった。 1)一般的なポテンシャルについて実行可能な多次元半古典量子化の理論を完成させ、報告した。これは量子カオス史上の画期的な成果である。この理論をさらに進化させ、(a)多次元カオス系に適用可能なマスロフ指数(量子位相)の計算方法の開発。(b)クーロンポテンシャルのような、スケール不変性を持つポテンシャルに対する、Renormalized Semiclassical Quantization Methodの提案(c)クラスターへの応用と解析、等を進めている。 2)時間分解光電子分光法による、分子内電子遷移過程における量子波束の分岐野直接観測の理論の展開。化学動力学の基礎として重要なだけではなく、波束工学、量子観測、量子情報等の基礎としても重要な成果である。 3)大きい分子における量子力学トンネル現象の解析を可能にするための方法論を提案した。この線に沿う実際の応用を進めている。 4)分子の電子動力学の研究を開始し、優れた成果を得た。化学反応等において、原子核と電子の運動を電子波束を用いて記述し、従来のMeyer-Miller理論等では考慮できなかった電子の量子揺らぎの効果を明らかにした。次年度は、電子波束野研究を大掛かりに展開する。 5)クラスターの構造転移のダイナミクスにおいて、併進・回転の自由度を分離した時に現れる内部空間の歪み(非ユークリッド性)の効果を、数学的に曖昧さのない形で定式化した。この効果の定性的・定量的な効果を明らかにし、化学動力学の概念に一定の変更が必要であることを提唱した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Hotta, K.Takatsuka: "Semiclassical quantization of chaos in terms of an amplitude-free quasi-correlation function"J.Phys.A ; Gen.Math.. 36. 4785-4803 (2003)
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[Publications] Y.Arasaki, K.Takatsuka, K.Wang, V.Mckoy: "Pump-probe photoionization study of the passage and bifurcation of a quantum wavepacket across an avoided crossing"Phys.Rev.Lett.. 90. 248303 (2003)
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[Publications] Tomohiro Yanao, Kazuo Takatsuka: "Collective coordinates and accompanying metric forces in gauge dynamics of structural isomerization of clusters"Phys.Rev.A. 68. 032714 (2003)
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[Publications] Y.Arasaki, K.Takatsuka, K.Wang, V.McKoy: "Studies of electron transfer in NaI with pump-probe femtosecond photoelectron spectroscopy"J.Chem.Phys.. 119. 7913-7923 (2003)
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[Publications] Satoshi Takahashi, Kazuo Takatsuka: "A Geometrical evaluation of the Mslov index"Phys.Rev.A. 69. 022110 (2004)
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[Publications] H.Ushiyama, K.Takatsuka: "Time-dependent quasi-semiclassical approach for tunneling chemical reactions"J.Chem.Phys.. 120. 4561-4572 (2004)