2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機複合ナノカプセルを用いる人工多細胞組織体の構築と機能
Project/Area Number |
15205022
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 善浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (90314541)
橋詰 峰雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40333330)
池田 篤志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (90274505)
|
Keywords | 有機-無機複合体 / ナノカプセル / セラソーム / 人工多細胞 / 自己組織化 / 分子デバイス |
Research Abstract |
本研究では、我々が最近独自に開発した人工細胞膜「セラソーム」を用いて、人工多細胞体を構築し、その有機-無機複合界面の分子認識場特性を利用した分子デバイス機能の発現を目指した。今年度は以下の成果を得ている。 1.リン脂質が水中で形成する二分子膜ベシクルはリポソームとよばれ、従来から人工細胞膜として利用されてきたが、その構造安定性には大きな問題があった。我々は、このリポソームと類似構造を有し、ベシクル表面をシリカセラミックスの基本骨格であるシロキサン結合で架橋した有機-無機複合ベシクルを開発し、「セラソーム」と名付けている。今年度は、脂質の分子構造のうちで、特にコネクター部位の構造を種々変化させたセラソーム形成脂質を新たに開発した。 2.今年度に新たに合成したセラソーム形成脂質を用いて、セラソームを作製し、それらのキャラクタリゼーションを行った。透過型ならびに走査型電子顕微鏡観察、動的光散乱測定から、セラソームの形成が確認された。また、その構造安定性について、ベシクル崩壊能をもつ界面活性剤に対する耐性から評価したところ、セラソームは従来型のリポソームに比べて驚異的な安定性を示すことがわかった。さらに、セラソームの表面荷電状態やゲル-液晶相転移挙動を、ゼータ電位測定ならびに示差走査熱量分析から定量的に明らかにした。 3.人工多細胞体を構築するために、交互積層法を利用して、基板上へのセラソームの階層的集積化について検討した。原子間力顕微鏡や水晶発振子を用いた生体分子間相互作用測定装置による測定から、セラソームの基板上への集積化を確認し、その集積化の際に興味深いサイズ選別効果を発見した。また、二分子膜ベシクル上で、脂質シグナルの分子認識と酵素による触媒作用を連動させた人工シグナル伝達系の構築が可能であり、このような分子デバイスはセラソームを用いても可能であることを新たに見出した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Hashizume: "Stable Vesicular Nanoparticle 'Cerasome' as an Organic-Inorganic Hybrid Formed with Organoalkoxysilane Lipids Having a Hydrogen-bonding Unit"Thin Solid Films. 438-439. 20-26 (2003)
-
[Publications] 菊池 純一: "分子デバイスの基板としての人工生体膜"応用物理. 72・10. 1296-1299 (2003)
-
[Publications] W-J.Tian: "Intermolecular Communication of Lipid Bilayer Membrane. Control of Enzymatic Activity Triggered by a Lipid Signal"Chem.Lett.. 33・3. 226-227 (2004)
-
[Publications] K.Katagiri: "Size-Selective Organization of Silica and Silica-like Particles on Solid Interfaces through Layer-by-Layer Assembly"J.SoL-Gel Sci.Technol.. (in press). (2004)
-
[Publications] W.-J.Tian: "Construction of a Bio-inspired Signal Transduction System. Activation of Lactate Dehydrogenase Triggered by a Lipid Signal on Bilayer Vesicles"Acta Chimica Sinca. (in press). (2004)
-
[Publications] 菊池 純一: "ナノテクノロジー大辞典"工業調査会. 8 (2003)