2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子ナノ構造中の電子波束のデコヒーレンスと伝導・損失・利得スペクトルに関する研究
Project/Area Number |
15206037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
荒川 泰彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30134638)
大塚 由紀子 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00251463)
関根 徳彦 (独)情報通信研究機構, 研究員 (10361643)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / 超格子 / ブロッホ振動 / 量子カスケードレーザ / 分子接合 / MEMS技術 |
Research Abstract |
サブピコ秒の時間スケールで高速に運動する電子は、その速度の微分に比例する電磁波を放出・吸収し、その周波数はテラヘルツ(THz)領域にある。従って、電子が放出・吸収するTHz電磁波を検出・解析することにより、ナノ構造中の電子のダイナミクスを明らかにすることができる。 本研究においては、THz電磁波の放射・吸収をプローブとして、(1)量子効果デバイス中の電子波束のダイナミクスと伝導・損失・利得の解明、(2)極短チャネルトランジスタ中の非定常伝導と超高電界伝導、(3)分子伝導における電子・分子・機械変形相互作用など分子伝導特有の新しい物性を明らかにする、ことを目標に研究を行っている。 本年度は、 1.半導体超格子のブロッホ利得について;(1)電気的な駆動によるブロッホ発振器の不安定性をもたらす直流での微分負性抵抗が、Zenerトンネル効果を用いることにより抑制できる可能性があることを見出した。(2)ブロッホ振動する電子の支配的な位相緩和機構が界面ラフネス散乱であることを明らかにした。(3)量子カスケード構造を作製し、3.8THzにおいてレーザ発振を確認した。 2.バルク半導体の過渡伝導について;(1)超高速トランジスタのチャネル中の電子が放出するTHz電磁波を検出し、超高速トランジスタの遮断周波数の評価に利用できることを明らかにした。(2)広帯域THz電磁波発生システムの構築を行い、80THzまでのTHz電磁波の発生に成功した。 3.分子伝導について;(1)単一分子エレクトロニクスを視野に入れた超微細電極作製を行い、エレクトロマイグレーション効果を用いたブレークジャンクション法やMEMS技術などを用いることにより、原子レベルで金属電極間のギャップを制御する技術を確立した。(2)(1)の手法を用いて分子接合を作製し、明瞭なクーロン振動の観測にも成功した。
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