2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピンエレクトロニクスのためのハーフメタル磁気抵抗材料及びその複合材料化
Project/Area Number |
15206071
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
KARPPINEN Maarit 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (50334529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 良夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主席研究員 (80354398)
本橋 輝樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (00323840)
山内 尚雄 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (50271581)
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Keywords | ハーフメタル / スピンエレクトロニクス / ダブルペロブスカイト酸化物 / トンネル型磁気抵抗 / 混合原子価状態 / メスバウアー分光 / ゾルゲル法 / 複合材料化 |
Research Abstract |
本研究では、高性能トンネル型磁気抵抗(TMR)材料の創製を目指し、ダブルペロブスカイト酸化物における結晶粒内(intrinsic)及び粒間(extrinsic)の特性制御を行った。本年度の主な研究成果を以下に列挙する。 ・ハーフメタル酸化物材料Sr_2FeMoO_6の試料作製プロセスについて研究を行い、(i)ゾルゲル法を用いた均一な組成を持つ前駆体粉末作製法、及び(ii)試料とFe金属を同時封管し低酸素分圧下での試料焼成を実現する「酸素ゲッター同時封管法」を開発した。これらの新合成手法を用いることにより、高いFe/Moサイト占有秩序度を持ち、理想値4 μ_Bに近い大きな飽和磁化MきMs=3.96μ_Bを示す試料が得られた。また、合成条件を変化させることにより、試料中の結晶粒サイズの制御にも成功した。 ・Sr_2FeMoO_6バルク体試料における結晶粒と磁気抵抗(MR)特性の関係を調べた。小さな結晶粒を含む試料において、超常磁性状態の発現をメスバウアー分光法により初めて確認した。このような試料では、超常磁性状態(絶縁体)と強磁性状態(ハーフメタル)が共存し、また超常磁性領域が外部磁場印加により強磁性状態に転換するため、低磁場MR効果が飛躍的に向上することが判明した。 ・上記の知見を応用し、結晶粒径が大きく異なる2つのSr_2FeMoO_6単一相成分から構成される複合材料、名付けて"homocomposites"を作製した。この試料中では、超常磁性状態にあるナノスケール粒が「第二相」として働き、TMR特性の向上に寄与することが明らかになった。 ・Sr_2FeMoO_6と同じBサイトオーダーダブルペロブスカイト構造を持つ新規ハーフメタル材料の探索を行った。その結果、(Sr,La)_2FeTaO_6においてハーフメタル状態発現を期待させる幾つかの兆候:特にFeの混合原子価状態など、を捉えることができた。
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Research Products
(14 results)