2004 Fiscal Year Annual Research Report
反平行結合膜を用いたナノサイズ磁性素子の低電力スピン反転に関する研究
Project/Area Number |
15206074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪俣 浩一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90323071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40323076)
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Keywords | 反平行結合膜 / スピン反転 / ナノサイズ / 磁性素子 / MRAM / スピン注入磁化反転 |
Research Abstract |
低電力でスピンの向きを制御できる機能性素子の開発を目指し,反平行結合膜(SyAF:強磁性層/非磁性層/強磁性層)素子に関する研究を行った.まず,SyAF素子の磁化の熱揺らぎ耐性について検討した.SyAFおよび単層膜をフリー層とする微細強磁性トンネル接合を作製し,その磁気抵抗曲線よりスピン反転磁場を測定し,その温度依存性(4.5〜300K)を解析することにより熱揺らぎ耐性っを見積もった.その結果,素子サイズが0.1×0.4μm^2の試料では,SyAFフリー層の熱揺らぎ耐性が,単層膜フリー層の場合に比べ,約1.5倍大きいことが明らかとなった.300Kにおける(異方性定数×体積)/(ボルツマン定数×温度)の値は,100以上あり実用化の際に問題が無いことも分かった. 次にSyAF層をフリー層とするCPP-GMR素子(膜面に垂直方向に電量を流した場合の巨大磁気抵抗素子)を用いて,スピン注入磁化反転の検討を行った.このような素子においても,スピン注入磁化反転が起こることが明らかとなった.また,その時のスピン注入効率は単層膜フリー層のCPP-GMR素子に比べて,約2倍であることが分かった.更に,SyAF素子の膜構成を変化させることで,そのスピン注入過程に影響があり,スピン反転臨界電流の磁場依存性が大きく異なることが分かった. これらの研究により,SyAFの熱揺らぎ耐性が単層膜のそれより優れていること,SyAFフリー層でもスピン注入磁化反転が可能であること,スピン注入効率は,単層膜の場合に比べ約2倍になることが分かった.また,最小素子幅90nmの試料まで作製できている.
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Research Products
(5 results)