2004 Fiscal Year Annual Research Report
過冷メルトからの希土類系磁石のニアネットシェイプキャスティング
Project/Area Number |
15206081
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
栗林 一彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 教授 (70092195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長汐 晃輔 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 助手 (20373441)
広沢 哲 (株)NEOMAX, 開発本部, 主席研究員
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Keywords | Nd-Fe-B / 無容器プロセス / 過冷凝固 / 準安定相 / ニアネットシェイプ キャスティング |
Research Abstract |
Nd-Fe-B磁石は、コンピュータや音響、医療機器など、広く使用されている重要な材料である。この磁石の優れた磁気特性は、高い飽和磁化と磁気異方性を有するNd_2Fe_<14>Bハード磁性相に起因する。このNd_2Fe_<14>B相は、Fe-Nd_2B擬二元系状態図によれば初晶γ-Fe相と液相からの包晶反応によって生成する。このため、通常の溶解凝固法では、初晶γ-Fe相が変態したα-Fe相がソフト磁性相としてインゴット中に残存し、Nd-Fe-B磁石のハード磁気特性を損なう場合の多いことが知られている。この点から本研究は、上記の問題を解決するための新しい方法として無容器凝固を利用し、過冷したメルトからNd_2Fe_<14>B相を直接成型するニアネットシェイプキャスティング技術の確立を目指している。 15年度から16年度前半にかけて行なったNd-Fe-B合金のドロップチューブ実験結果(急冷によって生ずる相はNd_2Fe_<17>相とよく似た結晶構造と、仕込み組成に近い組成を持つ準安定相であり、この準安定相は固相反応によってNd_2Fe_<14>B相とNdリッチ相に分解する)に対しては、類似の研究を行っている欧米のグループ(ドイツ宇宙機関;DLR)から、準安定相の組成ならびに分解生成物に関して異なった見解が出されている。このため、当方から研究者をDLRに派遣しDLRの装置により実験を行った。その結果、予備的ではあるが以下のことが明らかになった。 (1)準安定相の組成は仕込み組成よりはFeが富化されたNd_2Fe_<17>相に近く、余剰となるNdはNd-rich相を作り準安定相を取り囲むように生成する。 (2)準安定相が分解して生成される相はNd_2Fe_<14>B相とγ-Feであり、微細なラメラ組織を構成する。 これらの微細な組織は熱処理よって容易にNd_2Fe_<14>Bに変態するが、Nd_2Fe_<14>BよりもFeが過剰な過包晶組成ではγ-Feが初晶として晶出し易いため、最終年度ではBの一部をCで置換することによりγ-Feの晶出の抑制を図ることを計画している。
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Research Products
(6 results)