2005 Fiscal Year Annual Research Report
過冷メルトからの希土類系磁石のニアネットシェイプキャスティング
Project/Area Number |
15206081
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
栗林 一彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 教授 (70092195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長汐 晃輔 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 助手 (20373441)
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Keywords | Nd-Fe-B / 無容器プロセス / 過冷凝固 / 準安定相 / ニアネットシェイプキャスティング / 相変態 |
Research Abstract |
Nd-Fe-B合金は現在最も高性能な永久磁石用材料として知られており,焼結法で作製された磁石では400kJm-3を越える高い最大エネルギー積が報告されている.しかしながらこの合金は包晶化合物のため,通常の溶解凝固法では初晶のα-Fe相がソフト磁性相としてインゴット中に残存してNd_2Fe_<14>B相のハード磁気特性を損なうことが知られている.この点から本研究では,無容器溶融による過冷メルトのスプラット急冷を利用してα-Fe相のないNd_2Fe_<14>B磁石を直接成型するニアネットシェイプキャスティング技術の確立を目指している.17年度はこれまでに解明した準安定Nd_2Fe_<17>B_x相について,その生成条件と焼鈍時の相変態挙動を調べることにより,準安定相からNd_2Fe_<14>B相を得るための合金組成とプロセス条件の確立を目指した.実験試料には亜包晶のNd_<10>Fe_<85>B_5,化学量論組成に近いNd_<12>Fe_<86>B_6,および過包晶のNd_<14>Fe_<79>B_7を用い,ドロップチューブによる無容器溶融凝固を行った.結果は,初晶α-Feは亜包晶試料では観察されるが,準安定相の体積率は合金組成によらず試料径dの減少とともに増加し,また過包晶試料では短時間の焼鈍により準安定相とNd-rich相との反応によりα-Fe相のないNd_2Fe_<14>B相が生成した.しかしながらd>1200μmのas-dropped試料では過包晶組成においても準安定相の分解によるNd_2Fe_<14>Bとα-Fe相から成るパーライト状の組織が観察され,焼鈍時とは異なる相変態挙動が示唆される結果となった.この点からDTA, TMAにより焼鈍時の相変態挙動の解析を行ったところ,as-dropped試料では準安定相を優先サイトとするNd_2Fe_<14>B相の晶出が,準安定相をNd-rich相から"遮蔽"し,準安定相自身のNd_2Fe_<14>Bとα-Fe相への分解を促す結果となることが分かった。これは当初予測しなかったものではあるが,α-Fe相を微細分させた新しいタイプのナノコンポジット磁石への途を拓く注目すべき結果といえる.
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Research Products
(7 results)