2005 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物からの有価金属回収のためのメカノケミカルプロセス開発
Project/Area Number |
15206100
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 文良 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10007198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 純也 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (40271978)
張 其武 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (30292270)
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Keywords | メカノケミカル / 廃棄物 / 有価物 / 回収 |
Research Abstract |
触媒にはレアメタル類を含む多くの金属が利用されており,廃触媒からの有価金属の回収は,資源の有効活用につながるため,非常に重要な課題と考えられる.脱硫をはじめとする石油留分の水素化精製プロセスで使用される触媒はMo, Co, Niの各硫化物がアルミナに担持された状態にある.これらの有価金属を回収する手法(従来法)は提案されているが,その回収率は低く,新しい手法の開発が望まれている.筆者らは,新しい廃触媒からの有価金属の回収法として,メカノケミカル(MC)法を提案する.この方法は粉砕処理と抽出処理を組み合わせたものであり,熱を使わないこと、抽出は水であることから"環境に優しいプロセス"であるのが特長である. 16年度は、遷移金属硫化物モデル試料と酸化カルシウムとのMC処理の効果と産物の各種溶媒による抽出率を調べた.その結果,MC処理により硫化モリブデンからモリブデン酸カルシウムが,硫化バナジウムからバナジン酸カルシウムがそれぞれ合成され、有価金属の回収率は向上することが判明した。 17年度は、酸化カルシウムの代わりに、二酸化マンガンなどの使用によりMoやVが高い収率で回収できることが判明した。硫化物を酸化させるため、酸化剤が必要であるが、その値は、酸化カルシウムより二酸化マンガンが高く、また、生成物はモリブデン酸と不溶性化合物を作らないので有利である。実験条件より90%以上の収率がえられた。以上の検討結果より、以後は実際の廃触媒への応用展開を考えている。 一方、貴金属触媒からの貴金属の環境適合型回収法も強く望まれている。基礎研究として、貴金属含有試料と硫酸アモンニウムとの混合粉砕(MC処理)を行い、貴金属の中パラジウムが水に可溶な化合物となり、王水ではなく、水洗だけでパラジウムが回収できることを確認できた。 以上、本研究では、科研費給付期間に、幾つかの廃触媒を対象として、含まれる有価金属を簡単に、環境にやさしいプロセスで回収する手法開発を目指し、その結果、粉砕操作(MC処理)と水洗いという簡単な操作を組み合わせた21世紀型処理プロセスを開発することに成功した。今後は、共同研究相手先企業と連携し、その実用化へ向けた更なる研究推進を行う予定である。
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Research Products
(2 results)