2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブフェムト秒・アト秒電子線励起時間分解吸収分光法の基礎研究
Project/Area Number |
15206109
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50210729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 精一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80011203)
古澤 孝弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20251374)
関 修平 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30273709)
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (40209333)
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90362631)
|
Keywords | サブフェムト秒電子線励起時間分解吸収分光 / アト秒電子線連記時間分解吸収分光 / ダブルテッカー電子加速器 / サブフェムト秒電子パルス / アト秒電子パルス |
Research Abstract |
世界最短100フェムト秒電子線パルスの発生 平成16年度には、フェムト秒やアト秒電子パルス発生法の確立に重点を置いて、最先端レーザーフォトカソードRF電子銃ライナックを用いて低エミッタンス(3mm-mrad以下)電子ビームの発生を行った。発生した電子パルスを、昨年度に最適化した磁気パルス圧縮装置を用いて圧縮し、RF位相の最適化により電子パルスの非線形エネルギー変調を利用してパルス圧縮の非線形効果の補正を行い、世界最短98フェムト秒電子パルスの発生に成功した。 サンプル中での時間分解能劣化を伴わない等価速度吸収分光法の原理実証 発生したフェムト秒電子パルスを利用し、サンプル中での光と電子が通過する速度の違いによる時間分解能の劣化を防止するための電子線パルスと分析光パルスを屈折率に応じて角度(φ)をつけてサンプルに入射する等価速度分光法を開発し、パルスラジオリシス時間分解能の向上に成功した。等価速度分光法を用いて電子パルス波面を曲げた時(φ=65^0)の水和電子吸収時間スペクトルの測定時間分解能(4.0ps)は、電子パルス波面を曲げない時(φ=90^0)の時間分解能(5.5ps)より1.5psを向上したことがわかった。また、等価速度分光法を用いたパルスラジオリシスでは、時間分解能への効果だけではなく、吸収強度が明らかに大きく取れることも実験的に確認した。 ダブルデッカービーム電子線加速器の開発とダブルフェムト秒電子ビームの発生 パルスラジオリシスの時間分解能をアト秒に向上するため、昨年度に開発したダブル電子ビーム発生用レーザー入射系を用いて、1台のライナックでツインライナックを実現するダブルデッカー加速器を開発し、世界初めて1台の加速器で上下2つのフェムト秒パルス電子線の発生に成功した。すなわち、フォトカソードRF電子銃にダブル光パルス入射法により上下2つの電子パルス(ダブル電子パルスの時間差は1.4nsであった)を発生し、ライナックによりエネルギーを加速し、最後に磁気パルス圧縮器を用いてフェムト秒に圧縮した。来年度から、電子パルスから分析光パルスの発生実験を行い、ダブルデッカー電子ビームを用いたパルスラジオリシスの実験を行う予定である。
|
Research Products
(6 results)