2004 Fiscal Year Annual Research Report
高いエネルギー効率をもつウラン・レドックスフロー電池の研究
Project/Area Number |
15206111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50111307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40281985)
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20281983)
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Keywords | レドックスフロー電池 / ウラン廃棄物 / 劣化ウランの有効利用 / 電力貯蔵 / 自然エネルギー利用 |
Research Abstract |
ウランのIII価からVI価までのイオンはU^<3+>,U^<4+>,UO_2^+,UO_2^<2+>であり、ウランは2組の等構造イオン対(U^<3+>/U^<4+>とUO_2^+/UO_2^<2+>)を有している。等構造のイオン対の反応は活性化エネルギーが低く、これら2組のイオン対の酸化還元反応が速いことは古くから知られている。他方、アクチニド以外の元素がもつ等構造のイオン対は高々1組であり、ウラン等のアクチニドが2組の速い酸化還元対をもつことは特異と言える。この速い2組の酸化還元対を電池の両極反応として利用すれば、両極反応における過電圧が小さく、エネルギー効率の優れた電池が期待できる。 しかし、水溶液系ではUO_2^+は不均化反応のため不安定であるため、遊離のプロトンが存在しない非プロトン性溶媒中でのレドックスフロー電池を検討した。 本研究では、β-ジケトンを二量体化したテトラケトン環状配位子Tを用いて、エントロピー効果によって、III価とV価錯体の安定化を試みた。その結果、このウラン錯体の溶液中での組成は、IV価とIII価でUT_2、VI価とV価でUO_2Tであることが電位差滴定から明らかとなった。この結果は、ウラン・テトラケトン錯体の2組の酸化還元対で、酸化体と還元体が等構造で電極反応が速い必要条件が満たされており、エネルギー効率の優れたウラン電池が期待できる。 一方、4価から6価のテトラケトン錯体は直接合成できるが、5価と3価の錯体を直接合成することは困難である。そこで、6価錯体を電解還元して5価錯体を正極液、直接合成した4価錯体を負極液にとして、放電状態のウラン電池を作成した。次に、この5価錯体と4価錯体を電解して、正極が6価、負極が3価の充電状態の電池を作成し、電池としての作動を確認した。 しかし、ウランのテトラケトン錯体の溶解度が低いことが判明したため、今後、溶解度の高いβ-ジケトン錯体について、遊離の配位子を添加することによって、平衡状態をシフトさせ、錯体配位子の解離を防止することを検討する。
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Research Products
(6 results)