2005 Fiscal Year Annual Research Report
高いエネルギー効率をもつウラン・レドックスフロー電池の研究
Project/Area Number |
15206111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50111307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40281985)
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20281983)
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Keywords | レドックスフロー電池 / ウラン廃棄物 / 劣化ウランの有効利用 / 電力貯蔵 / 自然エネルギー利用 |
Research Abstract |
これまでの原子力研究開発は、主にU-235とU-238から生成されるプルトニウムの選択的な利用を主眼として進められてきた。この利用サイクルの中で派生する劣化ウランやプルトニウム以外のアクチニドは保管もしくは処分・消滅の対象であると言って良い。一方、リサイクル型の資源利用を指向する社会の動きを勘案すると、これらを保管・処分・消滅の対象としてだけ捉えるのではなく、可能な限り利用し尽くす方策を考えるべきである。原子力が成熟しつつある現在、この技術体系に内在する課題を見つめ直す作業は、原子力の健全性の向上に不可欠である。 アクチニド4元素(U, Np, Pu, Am)は、VI価/V価(AnO_2^<2+>/AnO_2^+)とIV価/III価(An^<4+>/An^<3+>)という2組の等構造のイオン対を有するため、この2組の酸化還元反応は共に速いことが古くから知られている。酸化還元反応の速さは、バトラー・ボルマー式から予測できるように、電池のエネルギー効率を支配する。本研究では非プロトン性溶媒におけるウラン・レドックスフロー電池と水溶液系におけるネプツニウム・レドックスフロー電池を製作し、その充放電特性を検討した。ウラン電池では電池活物質としてのβ-ジケトンを2量体化したテトラケトン錯体、ネプツニウム電池では活物質として水溶液系III価からIV価までのイオンを利用して、充放電を試みた。実際、試作したウラン電池とネプツニウム電池で充放電を繰り返し行った結果、電池として作動することが確認できた。しかし、電池活物質としてネプツニウムは高放射性物質であり、実際にこの電池を実用化することは困難である。他方、ウラン濃縮に伴って派生する劣化ウランは、現在世界的には100万トンを超える量が保管されている。本研究は、劣化ウランの電池活物質として利用に道を開くものである。
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Research Products
(5 results)