2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15207005
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
西村 幹夫 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 教授 (80093061)
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Keywords | ペルオキシソーム形成 / apm変異体 / ペルオキシソームの分裂 / ミトコンドリアの分裂 / DRP3A |
Research Abstract |
ペルオキシソーム形成が異常になったシロイヌナズナの変異体を解析することにより、ペルオキシソーム形成に関わる因子を同定し、ペルオキシソーム形成因子から可逆的オルガネラ分化転換に働く分子メカニズムの解明を目指した。EMSで変異処理されたGFP-PTS1の種子由来のM2植物体、約37000個体を1個体ずつ蛍光顕微鏡下で観察した結果、親株とは異なるGFPの蛍光パターンを示す変異体が約240ライン取得できた。さらに、二次スクリーニングを行い最終的に82ラインのapm変異体を得た。今年度はこのうち、ペルオキシソームの形が長くなったapm1変異体について解析を進めた。 apm1変異体のペルオキシソームは、親株に比べ大きいペルオキシソームから糸のような細長いものが出ているという構造をとっており、細胞内の数も減少する。このことからapm1変異体は、ペルオキシソームの分裂が抑制された変異体であると考えられた。この変異体における他のオルガネラの形態は、葉緑体、核、ゴルジ装置、液胞には違いはないものの、ミトコンドリアは根では長く、葉では巨大化しており、このapm1変異がペルオキシソームの分裂のみならず、ミトコンドリアの分裂も抑制していることが明らかとなった。apm1植物体は矮性を示すが、これはapm1変異によるペルオキシソームとミトコンドリアの形態変化が機能にも影響を与え、その結果、植物個体に影響が出たと考えられる。 apm1変異は劣性であり、その原因遺伝子を同定したところ、APM1遺伝子はダイナミンファミリーのタンパク質の1つ、DRP3Aをコードしていた。apm1変異体には24個のalleleが存在するので、それらのシークエンスを決定したところ、エキソンとイントロンの境界配列やアミノ酸置換あるいはストップコドンを引き起こすような一塩基置換が検出された。apm1変異体にDRP3A cDNAを導入すると、apm1変異体で観察された長いペルオキシソームは観察されず、野生型と同じ形態のペルオキシソームとミトコンドリアのみが観察されたことから、apm1変異体の原因遺伝子がDRP3Aであること明らかとなった。 以上の結果は、同一のDRP3Aがペルオキシソームとミトコンドリアの両オルガネラの分裂に関与していることを初めて示したものであり、高等植物の可逆的オルガネラ分化を支える分子メカニズムの一つを明らかにしたものである。
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Research Products
(5 results)