2005 Fiscal Year Annual Research Report
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15207005
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
西村 幹夫 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 教授 (80093061)
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Keywords | ペルオキシソーム形成 / apm変異体 / ペルオキシソーム形成因子 / PTS1タンパク質輸送 / PTS2タンパク質輸送 |
Research Abstract |
ペルオキシソーム形成が異常になったシロイヌナズナの変異体を解析することにより、ペルオキシソーム形成に関わる因子を同定し、ペルオキシソーム形成因子から可逆的オルガネラ分化転換に働く分子メカニズムの解明を目指した。今年度はペルオキシソーム形成変異株apm2と4の変異体について解析を進めた。 apm2およびapm4変異体はともにGFPの蛍光がペルオキシソームのみならずサイトゾルでも観察されるが、特にapm4変異体でサイトゾルでのGFPの蛍光が顕著に観察される。このことからapm2およびapm4変異体は、PTS1タンパク質の輸送経路に異常をきたしており、その阻害効果はapm2よりもapm4変異体の方が顕著だった。マッピングを行ったところAPM2とAPM4遺伝子は、ペルオキシソーム形成因子の一つであるPEROXIN13(PEX13)とPEX12をコードしていることが明らかとなった。APM2およびAPM4とGFPとの融合遺伝子を一過的に発現させたところ、共にペルオキシソーム膜上に局在した。興味深いことに、もう一つの輸送経路であるPTS2タンパク質輸送の効率についても、両変異体ではPTS2タンパク質輸送の効率も低下していることが明らかとなり、PTS1輸送の場合と同様にapm2変異体よりもapm4変異体の方がその程度は著しかった。また、サイトゾルにおけるPTS1タンパク質のレセプターであるPEX5が、両変異体ではペルオキシソーム膜にも局在しており、ペルオキシソーム膜上でのタンパク質透過装置との相互作用が異常になっている可能性が示唆された。このことから、APM2/PEX13とAPM4/PEX12はペルオキシソーム膜上でPTS1およびPTS2両輸送経路に関わる因子であることが明らかとなった。 以上の結果は、植物細胞におけるPEX14以外のペルオキシシーム膜上の輸送装置の新規因子を同定したものであり、高等植物の可逆的オルガネラ分化を支えるタンパク質輸送機構の分子メカニズムの1つを明らかにしたものである。
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Research Products
(6 results)