2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミズナラを取り巻く生物群集をモデル系とした生物多様性インヴェントリーと生態的分類
Project/Area Number |
15207008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正人 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
片倉 晴雄 北海道大学, 理学研究科, 教授 (40113542)
金子 信博 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (30183271)
大原 昌宏 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (50221833)
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70250496)
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Keywords | コナラ属 / 森林土壌分解系 / 樹冠観測システム / 生物参照標本 / 生物多様性 / 生命情報 / 野外実験 / リレーショナルデータベース |
Research Abstract |
北海道大学苫小牧研究林(TOEF)におけるコナラ属樹木を取り巻く生物群集を解明するための生物インヴェントリーと生態調査を行った。 生物インヴェントリーでは、いくつかの生物群について、種構成と生息環境に関する情報が得られた。まず、土壌、落葉、樹皮で採集されたダニ類についての同定と生息範囲の特定を行った。カシワを利用する潜葉性昆虫とその寄生蜂の同定も行った。また、ミズナラ樹皮下の昆虫相を解明するために、新たに考案したトラップを設置回収して、そこに生息するすべての昆虫類の同定を現在行っている。食害されたドングリを利用する昆虫類を解明するためのトラップも設置した。さらに、ミズナラ林における哺乳類の個体群動態を把握するために、捕獲調査(ネズミ類)、ライトセンサス(シカ)、自動カメラの設置(中型哺乳類)をしている。 生物群集の生態的な側面については、昨年建設したジャングルジム状の構造物を利用して樹冠部で生じる種間相互作用の解明を行った。ミズナラの繁殖活動と蛾類幼虫群集の関係について、繁殖への投資による葉の質的変化は見られなかったが、餌としての繁殖器官(雄花の花粉)が幼虫群集に大きな影響を与えている可能性が示唆された。ミズナラ・カシワ・雑種間の遺伝子構成の違いが植食性昆虫群集の多様度と個体数に影響を与えることも明らかになった。一方、葉の分解系に関しては、実験的な手法を使ってミミズによる土壌の窒素無機化速度を測定し、苫小牧の値は他の温帯林と比べてやや低いことが明らかになった。 これらの成果はHP上で公開するとともに、生物多様性研究に関する包括的生命情報データは、インターネットを通じて閲覧できる形にすべく開発を進めている。既に一部の標本データーベース(鱗翅目)を公開し,これらの生物多様性情報を容易に取り出し,活用するための「生物分類検索システム」を開発中である。
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Research Products
(6 results)