2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15207011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 維昭 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90027334)
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Keywords | 蛋白質膜透過 / SecM / SecA / リボソーム / 翻訳制御 / タンパク質分泌 |
Research Abstract |
分泌モニターSecMによる新たな蛋白質機能発現制御機構 蛋白質分泌装置の駆動ATPaseであるSecAは、分泌モニター蛋白質SecMによって巧みな制御を受けていることを発見した。SecAは細胞質にも膜に結合した状態でも存在し、複数のオリゴマー構造をとり得る特異なタンパク質である。新生ポリペチドはリボソームの中の長いトンネルを通って細胞質に出現する。このトンネルは合成されたポリペプチドと相互作用しない設計になっているとされる。しかし、secM-secAオペロンの先頭の遺伝子産物であるSecMは翻訳途上でトンネルの壁に結合して翻訳伸長を停止してしまう。これによりmRNA上のsecA遺伝子のリボソーム結合サイトが露出し,この間に別のリボソームによるSecAの翻訳が行われる。SecMポリペプチドが分泌装置によって引っ張られると翻訳停止が解除されることにより、細胞の分泌活性がモニターされる。つまり、分泌が止まるとSecAの合成が促進される。この仕組みは同時に、SecAが膜分泌装置の近傍で合成されることを保証し、それによってSecAは直ちに働くことができるような構造をとりやすくなるという、新たな制御機構の存在が明らかにされた。SecMがリボソームトンネル内で翻訳伸長アレストを起こす性質を持つことは、大腸菌の生存とSecAの基底レベルの発現に必須であることを報告した。また、大腸菌細胞において、タンパク質分泌能に応じてSecAの発現が翻訳レベルで調節を受けることが知られているが、この制御にSecMが重要な役割を持つことを実証した。さらに、SecMは翻訳途上でトランスロコンと相互作用するため、SecAの翻訳を膜・トランスロコン近傍で行わせる役割を持つこととなり、その結果、新生SecA分子が直ちにトランスロコンと相互作用できる機能型構造をとるように助けていることを示した。翻訳の場を膜に局在化させることによる機能発現の制御は、新しいタイプのタンパク質構造形成補助機構である。
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Research Products
(4 results)