2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物染色体DNA複製開始領域における複製因子集合の分子機構
Project/Area Number |
15207012
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
荒木 弘之 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (20151160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 誠司 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (50263314)
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Keywords | DNA複製 / 複製開始 / 複合体形成 / 酵母 / CDK |
Research Abstract |
真核生物の複製開始領域には、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)活性の低いM期後期からG1期にpre-Replicative Complex(pre-RC)が形成し、CDK活性がG1期後期に増加すると多数の複製タンパク質がpre-RCに集合して、複製が開始する。この集合に関して本年度は以下の点を明かにした。 1.この集合反応には、Sld2とDpb11タンパク質の結合が必須である。この結合には、CDKによるSld2のリン酸化が必須である。Sld2は11個のCDKリン酸化モチーフを持つが、このうち84番目のスレオニン(Thr84)のリン酸化がDpb11との結合に必須であり、他のCDKによるリン酸化はThr84がリン酸化されることに必要である。この制御により、Dpb11とSld2との結合には高いCDK活性が必要となるが、このことが複製開始制御には重要である。 2.CDK活性に依存して形成されるpre-Landing Complex(pre-LC)を同定している。pre-LCはDNAポリメラーゼε(Polε)、GINS、Sld2、Dpb11を含むが、それぞれの因子の変異を用いることにより、GINS-Polε-Sld2-Dpb11の順に結合していることを示唆した。また、この複合体形成がCDKには依存するがDDKには依存したいことを示した。 3.Sld2のリン酸化型変異を導入しても、CDK非依存的に複製を開始することはできない。これは、Sld2以外にもCDKのターゲットがあるためである。このターゲットを探すため、リン酸化型Sld2変異と同時に持つと成育しない変異を分離した。この両変異を持つ細胞は、CDK活性がない条件でもDNA複製を開始することができる。現在、この新たな変異を解析中である。
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Research Products
(2 results)