2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15207019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 勝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40115259)
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Keywords | 補体系 / 起源 / 海綿動物 / 棘胞動物 / C3 |
Research Abstract |
ほ乳類の補体系は、30以上の成分からなる高度に組織化された生体反応系で、侵入した異物に標識をつけ、処理することを担当する自然免疫の主要構成員である。最近の系統発生学的な研究からは、補体系が広く後生動物に存在することが明らかになりつつあり、ここでは補体系中心成分のC3を指標にその起源を探る解析を行った。海綿動物のダイダイイソカイメン、オカダケツボカイメンからはC3も、C3の姉妹分子で非補体系のプロテアーゼインヒビターであるアルファ2マクログロブリン(α2M)も見つからなかった。一方、刺胞動物のタテジマイソギンチャクからは両者共に確認され、cDNAクローニングによりその全一次構造を決定した。アミノ酸配列をもちいた系統樹解析の結果は、C3とα2Mの間の遺伝子重複は、刺胞動物の出現以前、真性後生動物の出現初期であったことを示唆した。アミノ酸配列の比較からは、イソギンチャクC3,α2Mは、哺乳類で各々の活性に必須であることが知られている特徴的なアミノ酸残基をよく保存しており、またin situ hybridizationの結果は、イソギンチャクC3は触手内胚葉で、イソギンチャクα2Mは隔膜内胚葉で主に発現していることを示し、これらの分子間の機能分化も刺胞動物の出現以前に完了していたことが示された。以上の結果より、補体中心成分のC3とその姉妹分子α2Mは、海綿動物が分岐した後の真性後生動物の系統で、生じ、お互いの間の遺伝子重複、機能分化を刺胞動物の出現以前に完了していたことが示された。
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Research Products
(6 results)