2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15208006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伴戸 久徳 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (20189731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 真一郎 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (60222585)
佐原 健 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (30241368)
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Keywords | バキュロウイルス / マイクロアレイ / プロモーター / バチルスチューリンゲンシス / エンテロトキシン |
Research Abstract |
本年度は、まず、ヒストン抗体を用いた実験からバキュロウイルスのゲノムが哺乳動物細胞内でクロマチン様構造を取ることを推定した。また、バキュロウイルスを処理した哺乳動物細胞を、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(NaBt)で処理することで多くのウイルス遺伝子の発現が促進されることを明らかにした。昆虫細胞で複製したウイルスゲノムDNAのメチル化状態を解析したところ、哺乳動物とは異なり、CpGに限定されることなく、またその頻度は哺乳動物細胞で報告されている一般的なDNAメチル化頻度よりもかなり低かった。そして、このウイルスが哺乳動物細胞に感染した場合も、メチル化の状況は哺乳動物細胞の特徴とは異なった状態が維持された。次に、NaBt処理によるヒストンの脱アセチル化阻害とウイルスDNAのメチル化状態、およびウイルスゲノム上へのヘテロクロマチン蛋白(HP1)の集積状況をクロマチン免疫沈降法により解析した。此までの結果から、バキュロウイルスはこれまでの通説に反して哺乳動物細胞内で一部の遺伝を発現し得るものの、バキュロウイルスなど無脊椎動物のDNAウイルスに対して哺乳動物細胞のエピジェネティックな遺伝子発現制御機構が効果的にバリヤーとして機能し得ることが初めて明らかとなった。これらの結果は、バキュロウイルスなど、少なくとも昆虫病原DNAウイルスの安全性に関して一定の分子生物学的根拠を与えるものとなった。 バチルスチューリンゲンシスに関しては、食中毒と最も関係が深いと言われる非溶血性エンテロトキシンCのVero細胞毒性機構の解明を行った。Vero細胞毒性については非溶血エンテロトキシンCをコードするnheC遺伝子の開始コドンから90bpにコードされているタンパク質を介して、Vero細胞の表面に非溶血性エンテロトキシンCが結合し、局在化することが明らかとなった。Bt製剤として用いられているBt菌株において、N末端部の部分がエンテロトキシンCが分泌される際に、欠失もしくは消化されており、Bcで報告されているような甚大な非溶血性エンテロトキシンCによる食中毒が引き起こされる可能性は低いということが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Book] Evolution of densoviruses : In "Parvoviruses" (ME Bloom, SF Cotmore, RM Linden, CR Parrish, JR Kerr, eds)2006
Author(s)
P.Tijssen, H.Bando, Y.Lil, F.-X.Jousset, Z.Zadori, G.FediPrel, M.El-Far, J.Szelei, M.Bergoin
Total Pages
13
Publisher
Edward Arnold Limited, London