2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌におけるリポ蛋白質の選別輸送と膜局在化の分子機構
Project/Area Number |
15208009
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳田 元 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (40125943)
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Keywords | 蛋白質輸送 / 分子シャペロン / 再構成 / 大腸菌 / ABCトランスポーター / リポ蛋白質 / 膜局在化 / 選別シグナル |
Research Abstract |
大腸菌は、内膜または外膜のペリプラズム側にアンカーした90種以上のリポ蛋白質を持っている。+2位にAspを持つリポ蛋白質のみが内膜に局在する。外膜特異的リポ蛋白質は、Lolシステムの作用で内膜から遊離し外膜に運ばれる。LolCDE複合体は、30℃で保温するとサブユニットに解離して活性を失うが、ATPやリン脂質を共存させておくと不活性化を防ぐことを見いだした。さらに、サブニットに解離した後でも、リン脂質を入れて保温すると活性を持った複合体が会合することを見いだした。このような発見に基づき、完全にサブユニットに分けたLolC、LolD、LolEから機能的なLolCDE複合体を再構成することに成功した。ABCトランスポーターでは過去に例の無い成果である。LolDには、ホモログ間で極めて高く保存された領域がある。この領域に変異を持つと、LolD単独では活性があってもLolCDE複合体とすると活性が著しく低下することを見いだした。この領域が、LolDと膜サブユニットとのコミュニケーションに重要であることを示す発見である。LolCDEに生じた変異により、Aspを+2位にもつ内膜特異的なリポ蛋白質を外膜にまで運ぶようになった変異株を分離した。LolD、LolC、LolEのどれかに一塩基置換した変異体が複数個分離された。一方、+2位をTrp、+3位をAsnにした人工的なリポ蛋白質も内膜に留まることが報告されている。この配列を持つリポ蛋白質を外膜に運ぶような変異体は得られなかった。+2位のAspとは別の機構で内膜に留まる働きをしていると考えられる。
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Research Products
(7 results)