2003 Fiscal Year Annual Research Report
魚類増養殖における集団遺伝情報データベースの構築と保全シミュレーション研究
Project/Area Number |
15208018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 順彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20036742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 実 東北大学, 農学部, 教務職員 (70232204)
中嶋 正道 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192221)
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Keywords | DNAマーカー / 集団遺伝学 / 養殖魚 / 希少魚 / 野生集団 / 親魚集団 / 遺伝的保全 / 実験魚 |
Research Abstract |
本研究では、1)養殖対象種として、スズキおよびホシスズキ、中国産の4大家魚の一つであるハクレン、フィリピン産のテラピア諸品種、ニシキゴイ、2)放流事業対象種として、ホシガレイ、サクラ、マス、アユ、3)希少種として、マツカワ、サツキマス、オヤニラミ、メコンオオナマズ、揚子江のエンツユイ(サッカーの一種)、4)実験魚として、グッピーおよびギンブナなどを供試魚と定め、研究材料とし複数の標本集団を収集した。次に、これらの標本から核DNAおよびミトコンドリアDNAを抽出し、それらを鋳型として、PCR法によりDNAサンプルを調整した。メコンオオナマズ、サクラマス、スズキ、マツカワ、オヤニラミ、などについては、プライマー情報がDNAデータベースに公表されたものがないので、東北大学の研究室において独自にプライマーの開発を実施し、有効なマーカーの作出に成功した。また、遺伝的多型についてはマイクロサテライトDNA多型およびミトコンドリアDNA配列多型を検出し、それぞれの標本群の遺伝的多様性の指標を推定した。養殖魚や放流種苗については遺伝学的諸問題の解決のため、種苗生産に用いる親魚集団のサイズおよび近交レベルの推定を試み、種苗生産現場で生起している集団遺伝学的諸現象の実態を把握することができた。一方、使用するマーカーの感度の高さに起因する情報処理の煩雑さを解消するため、各標本について得られた遺伝子型のデータベース化につとめ、コンピューターによる集団遺伝情報の迅速処理技術およびシミュレーション法の開発を試みた。また、サクラマスおよびマツカワにおいては、少数親魚による種苗生産において予測される遺伝的多様性の低下および近交係数の上昇、次世代における集団遺伝学的パラメータを推定するとともに、遺伝的多様性の低下防止および絶滅危倶種の遺伝的修復に関するシミュレーションを実施し新たな知見を得た。また、本研究では、研究対象魚種をグローバルな視点で選定しアジアの育種遺伝研究者との共同研究を進めるため、DNAマーカー検出技術の伝授をはかりながら遺伝的多様性研究を包括的に実施することを目指している。このため、2003年10月14日から19日にかけて、東北大学大学院農学研究科においてDNA多型解析に関するワークショップおよびDNA多型検出技術研修会を実施し、本研究の意義について共通理解を得ることができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Ikeda, M.Nunokawa, N.Taniguchi: "Lack of mitochondrial gene flow between populations of the endangered amphidromous fish Plecoglossus altivelis ryukyuensis inhabiting Amamiohima Island"Fisheries Science. 69. 1162-1168 (2003)
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[Publications] K.Ohara, N.Taniguchi: "Preliminary study on genetic diversity evaluated by 11 microsatellite markers in Kuromejina Girella leonine and Mejina Girella punctata"Fisheries Science. 69. 861-863 (2003)
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[Publications] M.Ortega-Villaizan Romo, M.Nakajima, N.Taniguchi: "Isolation and characterization of microsatellite DNA markers in the rare species barfin flounder (Verasper moseri) and its closely related species spotten halibut (Verasper bariegatus)"Molecular Ecology Notes. 3. 629-631 (2003)
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[Publications] T.Watanabe, M.Yoshida M.Nakajima, N.Taniguchi: "Isolation and characterization of 43 microsatellite DNA markers for guppy (Poecilia reticulate)"Molecular Ecology Notes. 33. 61-66 (2003)
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[Publications] M.R.R.Romana-Eguia, M.Ikeda, Z.Basiao, N.Taniguchi: "Genetic diversity in farmed Asian Nile and red hybrid tilapia stocks evaluated from microsatellite and mitochondrial analysis"Aquaculture. (受理印刷中). (2004)
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[Publications] U.Sun, S.Liu, G.Zhao, S.He, Q.Wu, N.Taniguchi, Q.Yu: "Genetic structure of Chinese sucker population Myxocypris asiaticus in the Yangtze River base on mitochondrial DNA marker"Fisheries Science. (受理印刷中). (2004)
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[Publications] N.Taniguchi, R.Perez-Enriquez, E.Nugroho: "DNA markers as a tool for genetic management of broodstock for aquaculture. In Aquatic Genomics"Springer-Verlag, Tokyo. 417-429 (2003)