2004 Fiscal Year Annual Research Report
魚類増養殖における集団遺伝情報データベースの構築と保全シミュレーション研究
Project/Area Number |
15208018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 順彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20036742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 正道 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192221)
池田 実 東北大学, 農学部, 教務職員 (70232204)
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Keywords | DNAマーカー / 集団遺伝学 / 養殖魚 / 希少魚 / 野生集団 / 親魚集団 / 遺伝的保全 / 実験魚 |
Research Abstract |
今年度は、1)養殖対象種として、中国産の4大家魚の一つであるハクレン、ニシキゴイ、2)放流事業対象種として、ホシガレイ、サクラマス、アユ、3)希少種として、イトウ、マツカワ、オヤニラミ、メコンオオナマズ、セブンラインバルブス、4)実験魚として、グッピーなどを供試魚としてデータを集積した。次に、これらの標本から核DNAおよびミトコンドリアDNAを抽出し、それらを鋳型として、PCR法によりDNAサンプルを調整した。イトウ、メコンオオナマズ、サクラマス、スズキ、などについては、東北大学の研究室において独自にプライマーの開発を実施し、プライマー情報をDNAデータベース(DDBJ)に登録した。また、遺伝的多型についてはマイクロサテライトDNA多型およびミトコンドリアDNA配列多型を検出し、それぞれの標本群の遺伝的多様性のレベルを推定した。放流用種苗については遺伝学的諸問題の解決のため、種苗生産に用いる親魚集団のサイズおよび近交レベルの推定を試み、種苗生産現場で生起している集団遺伝学的諸現象の実態を把握することができた。一方、使用するマーカーの感度の高さに起因する情報処理の煩雑さを解消するため、各標本について得られた遺伝子型のデータベース化につとめ、コンピューターによる集団遺伝情報の迅速処理技術およびシミュレーション法の開発を試みた。また、サクラマス、ホシガレイおよびマツカワにおいては、少数親魚による種苗生産において予測される遺伝的多様性の低下および近交係数の上昇、次世代における集団遺伝学的パラメータを推定するとともに、遺伝的多様性の低下防止および絶滅危惧種の遺伝的修復に関するシミュレーションを実施し新たな知見を得た。また、本研究では、研究対象魚種をグローバルな視点で選定しアジアの育種遺伝研究者との共同研究を進めるため、DNAマーカー検出技術の伝授をはかりながら遺伝的多様性研究を包括的に実施することとし、2004年12,月14日には、東北大学大学院農学研究科においてDNA多型解析に関するワークショップおよびDNA多型検出技術研修会を実施し、本研究の意義について共通理解を得ることができた。
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Research Products
(8 results)