2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳および膵臓における神経ペプチドPACAPの分子薬理学的機能解析
Project/Area Number |
15209009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00107103)
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30240849)
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (10335367)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
矢田 俊彦 自治医科大学, 教授 (60166527)
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Keywords | PACAP / 遺伝子改変マウス / 精神行動 / 抗精神病薬 / 記憶・学習 / NMDA受容体 / 海馬歯状回 / 膵臓β細胞 |
Research Abstract |
本研究は、精神疾患、糖尿病の分子レベルでの病態発現におけるPACAPシグナル系の関与を、遺伝子の発現変化とその機能解析によって究明し、これら病態の新しい創薬標的分子の同定ならびに治療薬の開発に資することを目的として計画・実施し、本年度は以下の各知見を得た。 1.定型抗精神病薬ハロペリドールはPACAP-KOが示す多動や異常なジャンプ行動は抑制するが、prepulse inhibition障害に対しては改善効果を示さないのに対して、非定型抗精神病薬リスペリドンは認められる全ての表現型に対して改善効果を示すことを見い出し、本マウスが種々の抗精神病薬に対して異なった感受性を示す複数の精神機能異常を呈することを明らかにした。 2.PACAP受容体の遺伝子欠損マウスにおいてもPACAP-KOと同様にin vivo LTPが障害されていることを見い出した。また行動薬理学的解析からPACAP-KOでは海馬が関係する記憶・学習機能が障害されており、特に記憶の保持に大きな障害が認められることを明らかにした。 3.PACAP-KOではNMDAによるアロディニア(異疼痛)の発現が完全に消失する一方AMPAによる発現は不変であったことから、PACAPがNMDA型グルタミン酸受容体の機能修飾を介して慢性疼痛の発現制御に関する可能性を示した。また神経性疼痛モデルの脊髄でPACAPが著しく誘導されることを見い出した。 4.トリメチルスズによる海馬歯状回障害モデルにおいて、神経細胞新生が始まる時期に先立って一過性のPACAP発現増加が惹起されることを見い出し、歯状回神経新生へのPACAPの寄与を示唆した。 5.糖尿病モデルマウスKKAyとPACAP過剰発現マウス(PACAP-Tg)との交雑実験において、糖尿病発症に伴う膵島の過形成がPACAP過剰発現によって抑制されることを見い出し、PACAPが膵島β細胞の増殖を両方向性に調節しうる可能性を示した。
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Research Products
(20 results)