2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳および膵臓における神経ペプチドPACAPの分子薬理学的機能解析
Project/Area Number |
15209009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 副学長(教授) (70107100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00107103)
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30240849)
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (10335367)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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Keywords | PACAP / 遺伝子欠改変マウス / マイクロアレイ解析 / 統合失調症 / 5-HT_<1A>受容体 / IL-6 / 膵β細胞 / RegIIIβ |
Research Abstract |
本研究は、精神疾患、糖尿病の分子レベルでの病態発現における神経ペプチドPACAPの関与を、遺伝子の発現変化とその機能解析により究明し、これら病態の新規則薬標的分子の同定ならびに治療薬開発に資することを目的として計画・実施した。本年度は、各種遺伝子改変動物の異常表現型の発現メカニズム解明を進めると共に、2年時に同定したPACAPシグナルの主要介在分子の機能解析を行なった。 1.精神興奮薬のアンフエタミンが、PACAP遺伝子欠損マウスの多動、新奇探索傾向、異常ジャンプ行動、プレパルス抑制(PPI)の障害を改善すること、これらの作用がセロトニン5-HT_<1A>受容体に依存することを見出し、ヒト注意欠陥多動症の薬物治療メカニズムの一端を明らかにした(J.Neurosci.,in revised)。 2.上述の表現型を指標とした解析から、新たに本マウスにおける5-HT_2受容体機能異常を見出した。 3.さらに、本マウスの脳神経核特異的なマイクロアレイ解析から、グルタミン酸(Glu)とPACAPにより特異的に誘導される分子群を同定し、上述の異常行動発現へのGlu-PACAPの協調作用の関与を示唆した。 4.ヒト精神疾患とPACAPの一塩基多型との関連解析から、統合失調症、うつ病との有意な関連を認めた。 5.PACAPおよびIL-6の遺伝子欠損マウスを用いた検討から、外因性および内因性のPACAP-IL-6シグナルの活性化が脳虚血障害に対して保護的に働く直接的証拠を得た(PNAS,in press)。 6.膵特異的PACAP-Tgと糖尿病モデルのKKAyとの交雑マウスにおけるマイクロアレイ解析等から、PACAP-RegIIIβシグナルが糖尿病病態時の膵島過形成に対し抑制的に働くことを明らかにした。 7.同解析で同定した機能未知遺伝子が、細胞増殖に対し促進的に働くことを明らかにした。 以上より、脳および膵臓におけるPACAPの生理・病態的な重要性、PACAPシグナルの主要介在分子(5-HT)の存在を明らかにすることに成功し、統合失調症やうつ病、注意欠陥多動症などのヒト精神疾患の病態発現や薬物治療効果とPACAPとの関連を強く示唆することができた。
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Research Products
(47 results)