Research Abstract |
(1)新規免疫抑制薬標的遺伝子としてのRabファミリー遺伝子ryh1の同定とRabファミリー遺伝子ryh1とypt3間相互作用の発見 高温感受性と免疫抑制薬感受性を同時に示す分裂酵母変異体を単離し,その遺伝子を決定した。その結果,輸送小胞をゴルジ・エンドソームからrecyclingするRab6ホモログのRyh1をコードしていることが明らかになった。また,以前に我々が高温感受性と免疫抑制薬感受性を同時に示す別の分裂酵母変異体として単離したypt3-i5と合成致死などの遺伝学的関係を示し,さらに,機能的にも関係を示すことから,2つのRabタンパク質が共同的に働くこと,さらにカルシニューリンによりともに制御されることが示唆された。 (2)PI4P5キナーゼによる細胞統合性制御機構の解明 以前,高温感受性と免疫抑制薬感受性を同時に示す分裂酵母変異体として単離したits3変異体は必須遺伝子であるPI4P5キナーゼをコードしている。今回,我々は高発現によりこれらの表現型を抑圧する遺伝子としてホスフォリパーゼCをコードするplc1を単離した。遺伝学的,細胞生物学的,生化学的解析により,plc1はジアシルグリセロールを産生するすることで,しかし,プロテインキナーゼCは介さずに細胞統合性を制御することが明らかになった。 (3)免疫抑制薬は活性化されたカルシニューリンを標的とする 今回我々は,分裂酵母モデル系を用いて,分子遺伝学的解析により,その細胞内(インビボ)での役割を解明した。即ち,制御サブユニットはカルシニューリンの細胞内での活性化に必須であること,更に免疫抑制薬がカルシニューリンを抑制するためにも制御サブユニットが必要であることが明らかにした。また,免疫抑制薬・結合タンパク質複合体は,活性化したカルシニューリンにのみ結合し,不活性化状態のものには結合しないことを明らかにした。
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