2003 Fiscal Year Annual Research Report
2時間を区切る新たな生物時計Hes1およびHes7の分子解析
Project/Area Number |
15209012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 俊之 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (20324709)
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Keywords | Hes7 / 生物時計 / オシレーション / 体節形成 / ネガティブフィードバック / bHLH因子 / 2時間周期 / Hes1 |
Research Abstract |
発生過程を制御する生物時計の実体は永らく不明であった。最近、我々はbHLH型転写抑制因子Hes1およびHes7が2時間を刻む生物時計として機能することを明らかにした。Hes1はネガティブフィードバックを介して2時間周期で発現変動(オシレーション)を示した。しかしながら、体節形成過程におけるHes7のオシレーションの分子機構は不明であったので、マウスを用いて解析を行った。 まず、Hes7蛋白に対する特異的抗体を作製しマウス胎児における発現部位をしらべたところ、Hes7蛋白はHes7遺伝子の転写が起こっていないところでのみ見られた。一方、Hes7ノックアウトマウスではHes7蛋白は存在せず、常にHes7遺伝子の転写が起こっていた。逆に、Hes7蛋白を安定化させるとHes7遺伝子の転写は抑制された。クロマチン免疫沈降実験からHes7蛋白は直接Hes7遺伝子プロモーターに結合することがわかった。以上の結果から、Hes7蛋白は自身のプロモーターに結合して転写を抑制するネガティブフィードバックによってオシレーションすることが明らかになった。 このHes7オシレーションはdp(t)/dt=am(t-T_p)-bp(t),dm(t)/dt=k/[1+{p(t-T_m)}^2/Po^2]-cm(t)という数式でシミュレーションされる。この数式モデルはHes7蛋白が2量体を形成しネガティブフィードバックを行うことを元にしているが、Hes7蛋白が不安定であることが必須である。Hes7蛋白の半減期は約20分であるが、この数式モデルでは半減期が30分になるとオシレーションは数回起こった後、消失する。これを実験で確かめるため半減期が30分になる変異マウスを作製したところ、予想通り、Hes7オシレーションは3〜4回起こった後、消失した。以上の結果は、数式モデルがHes7オシレーションをよく説明することを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Bessho, Y., et al.: "Periodic repression by the bHLH facto rHes7 is an essential mechanism for the somite segmentation clock"Genes & Dev.. 17. 1451-1456 (2003)
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[Publications] Bessho, Y., et al.: "Oscillations, clocks and segmentation"Curr.Opin.Genet.Dev.. 13. 379-384 (2003)
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[Publications] Sakamoto, M., et al.: "The bHLH genes Hesr1/Hey1 and Hesr2/Hey2 regulate maintenanc of neural precursor cells in the brain"J.Biol.Chem.. 278. 44808-44815 (2003)
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[Publications] Sumazaki, R., et al.: "Conversion of biliary system to pancreatic tissue in Hes1-deficient mice"Nature Genet.. 36. 83-87 (2004)
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[Publications] Hatakeyama, J., et al.: "Retinal cell fate determination and bHLH factors"Seminars Cell Dev.Biol.. 15. 83-89 (2004)
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[Publications] Miyoshi, G., et al.: "Identification of a novel bHLH gene, Heslike, and its role in GABAergic neurogenesis"J. Neurosci.. (in press). (2004)