2004 Fiscal Year Annual Research Report
2時間を区切る新たな生物時計Hes1およびHes7の分子解析
Project/Area Number |
15209012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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Keywords | Hes7 / 生物時計 / オシレーション / 体節形成 / ネガティブ フィードバック / bHLH因子 / 2時間周期 / Hes1 |
Research Abstract |
発生過程を制御する生物時計の実体は永らく不明であった。最近、我々はbHLH型転写抑制因子Hes1およびHes7が2時間を刻む生物時計として機能することを明らかにした。Hes1およびHes7はネガティブフィードバックを介して自律的に2時間周期で発現変動(オシレーション)を示した。また、このオシレーションは dp(t)/dt=am(t-T_p)-bp(t) dm(t)/dt=k/[1+{p(t-T_m)}^2/p_o^2]-cm(t) という数式でシミュレーションされた。この数式モデルはHes蛋白が2量体を形成しネガティブフィードバックを行うことを元にしているが、オシレーションの持続にはHes蛋白が不安定であることが必須である。Hes蛋白の半減期は約20分であるが、この数式モデルでは半減期が30分になるとオシレーションは数回起こった後、消失することが予想された。これを実験で確かめるためHes7蛋白の半減期が約30分になる変異マウスを作製したところ、予想通り、Hes7オシレーションは3〜4回起こった後、消失した。以上の結果は、数式モデルがHesのオシレーションをよく説明することを示している。 次に、体節形成過程以外でのHesのオシレーションの意義を探るために、血清刺激をした線維芽細胞から経時的にRNAを抽出し、発現変動する遺伝子をマイクロアレー法によって網羅的に探索した。その結果、Hes1と同じ位相で発現変動する遺伝子や2時間周期だがHes1とは異なる位相で発現変動する遺伝子が存在することがわかった。これらの解析から、体節形成過程以外でのHesのオシレーションの意義が明らかになることが期待される。
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Research Products
(6 results)