2005 Fiscal Year Annual Research Report
免疫学的機序が関与する消化器疾患の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
15209024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 勉 京都大学, 医学研究科, 教授 (30188487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 和一 関西医科大学, 医学部, 教授 (70145126)
西尾 彰功 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50362463)
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Keywords | H.pylori / MALTリンパ腫 / 炎症性腸疾患 / REG蛋白 / STAT3 / βカテニン / Colitic cancer / 胃癌 |
Research Abstract |
1.H.pylori感染から胃炎、胃癌、MALTリンパ腫など様々な病態が形成される理由について、免疫学的機序の面から解析した。その結果、人では萎縮性胃炎、胃潰瘍患者は粘膜萎縮の少ない十二指腸潰瘍患者よりも、抗IgG2-HP抗体値が高く、胃粘膜浸潤T細胞が多く、また単離したT細胞からのIFN-γ産生が明らかに高かった。一方MALTリンパ腫症例では、B細胞数が多く、IL-4産生が著明に高かった。 2.マウスの実験では、H.pylori感染によってTh1のC57/bマウスの胃炎が最も著明で、Th2のBalb/cでは菌量は最も多いのに胃炎は生じなかった。ところがこれらに生後3日目に胸腺摘除をおこなってH.pyloriを感染させると、Balb/cマウスでは大半の例でMALTリンパ腫が生じた。その際他ではまったく見られないIL-4産生が認められた。一方これらMALTリンパ腫細胞を単離して、胃粘膜浸潤細胞との共培養をおこなったところ、MALTリンパ腫の増殖には、H.pylori特異的なT細胞の存在が必須であることが明らかとなった。 3.H.pylori胃炎、炎症性腸疾患、および胃癌、Colitic cancerのいずれの粘膜においても、REGIα蛋白が高発現していた。またそれぞれの癌の先進部分では、βカテニンが核内集積しており、これらはSTAT3のリン酸化とよく相関していた。これらREG蛋白の増加やβカテニンの核内集積はSTAT3のリン酸化によってもたらされること、さらにそのSTAT3のリン酸化は、IL6などのサイトカインによって誘導されること、さらにREG蛋白については、IFN-γ刺激もその誘導を亢進させることが明らかとなり、胃、大腸における炎症から発癌への経路の一端が示された。
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Research Products
(18 results)