2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた変形性関節症の病態解明と治療法の開発に関する戦略的研究
Project/Area Number |
15209049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40179461)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (30344451)
鄭 雄一 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30345053)
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | 変形性関節症 / ノックアウトマウス / Carminerin / ゲノム疫学 / 再生医療 / 軟骨 / SOX |
Research Abstract |
1)Reverse geneticsからの病態解明へのアプローチ:昨年度までの研究で確立した、マイクロサージェリー技術を用いたマウスの膝関節の靱帯・半月板の切離・切除の組み合わせによる4種類のOAモデル(Osteoarthritis Cartilage 13:632, 2005)を組織学的に観察することによって、軟骨の破壊・変性に先行してRunx2やCOL10の発現誘導を伴う軟骨細胞の肥大分化が起こることを解明した(Arthritis Rheum 54:2462, 2006)。またこのモデルから、我々がクローニングした遺伝子carminerinがOAによる骨棘形成に関与していることを解明した(Nature Med 12:665, 2006)。 2)Forward geneticsからの病態解明へのアプローチ:昨年度までに構築した4つの地域コホート(和歌山山村コホート、和歌山漁村コホート、板橋コホート、新潟コホート)の内、2つについてベースライン調査を終了した。2,164例のX線写真の解析から、膝OA・腰椎OAの有病率が従来の試算よりもはるかにに高いことが明らかとなった(日本人全体に換算すると、膝OAが3080万人、腰OAが3300万人)。また、地域別、性別に分析した結果、OAの有病率が罹患部位(膝と腰)によって異なる疫学特性を示すことが明らかになった。これらの対象者全員からゲノム解析用の採血を行っており、ゲノムワイドスクリーニングの基盤は固まりつつある。 3)軟骨再生のための基礎検討:昨年度までに確立したCOL2-GFP導入細胞による軟骨分化のリアルタモニタリングシステムによって、転写因子Sox5, 6, 9の組み合わせが非軟骨細胞からでも軟骨分化を誘導する強力なシグナルであることを示し、この標的分子としてS100A1/Bを同定した(EMBO Reports, in press)。これらの遺伝子をナノミセルを用いて遺伝子導入する方法を開発し、その臨床応用に向けての研究を進めている。
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Research Products
(20 results)