2004 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲時免疫応答に関する研究:toll-like receptor反応性からみた新たなる治療戦略
Project/Area Number |
15209059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
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Keywords | 免疫応答 / toll-like receptor / heme-oxytenase-1 / ステロイド / G-CSF / 細胞内サイトカイン |
Research Abstract |
平成15年度の研究結果(J Trauma 55;1125-1132,2003,Microdrcirculation annual 19;77-78,2003,J.Trauma 54;114-120,2003)をもとに、本年度は侵襲時全身性炎症反応における免疫応答メカニズムを明らかにする研究を以下のとおり進めた。(1)まず、重症外傷、熱傷、感染症患者を対象に、単球のtoll-ike receptor(TLR)発現と反応性をフローサイトメトリー法で評価し、細胞内heme oxygenase-1(HO-1)発現との関連性を検討した。その結果、侵襲時単球においてTLR発現と細胞内HO-1発現は共に亢進しており、血清因子がHO-1を誘導することから、単球機能不全の一因をなすと考えられた(第64回米国外傷外科学会発表予定)。(2)次に、初期免疫応答として重要な役割を担うγδT細胞の機能を評価したところ、侵襲時全身性炎症反応では有意に活性化されることが証明され、重症患者の初期免疫が早期から影響を受けることが確認できた(Shock 22;11-15,2004)。(3)さらに、侵襲時全身性炎症反応における多核白血球の機能制御メカニズムとして、重要な核内転写因子であるNF-κBとglucocorticoid receptorがお互いに発現バランスを保ちながら活性化を制御することを証明した(J Trauma in press)。一方で、組織修復因子であるhepatocyte growth factorの産生亢進も確認できた(J Trauma 56;259-264,2004)。(4)また、侵襲時進行する血管内皮細胞の活性化と傷害のサインとして、活性化された血管内皮から産生されるmicroparticleが血液中に有意に増加して多核白血球との接着も増えることを明らかにした(J Trauma 56;823-831,2004)。現在、侵襲時全身性炎症反応におげる免疫応答を細胞内サイトカインバランス、ステロイド、G-CSF使用による炎症-抗炎症バランスの変化、およびtwo-hit modelにおける免疫応答の制御を中心に研究を進めている。
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Research Products
(4 results)