2006 Fiscal Year Annual Research Report
文化交流史の資料となるイスラーム時代エジプトの物質文化の研究
Project/Area Number |
15251008
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
川床 睦夫 (財)中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真道 洋子 (財)中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
高橋 忠久 (財)中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
家島 彦一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特任教授 (90014472)
手塚 直樹 青山学院大学, 文学部, 教授 (80337857)
保倉 明子 東京理科大学, 理学部, 助手 (20343569)
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Keywords | 港市 / ラーヤ / 物質文化交流史 / ラスター彩陶器 / 蛍光X線分析器 / フスタート遺跡 / 岩壁碑文 / キャラバン・ルート |
Research Abstract |
本研究は、イスラーム時代エジプトの物質文化を文化交読史の資料とするための研究である。本研究では、ガラス器、イスラーム陶器(ラスター彩陶器)、香炉を主な対象として、これらの物質の様式分類と編年を組み上げた。その際に、精度の高い編年研究が達成されている中国陶磁器と東南アジア陶磁器を比較資料とした。また、さまざまな物質を化学分析し、観察による分類の科学的根拠とした。 ガラスに関しては、千点以上を蛍光エックス線分析装置および蛍光エックス継回折器で分析し化学組成分析値を蓄積した。そして、詳細な化学組成による分類と観察による分類の関係を明らかにすることができた。また、年代が明らかなグラス・ウェイト資料を土記の分析機器、その他の高性能機器を用いて分析し、詳細なデータを集積した。これらの資料を総合して、初期イスラーム・ガラス史の基礎的編年を確立した。 中国陶磁器については、様式分類と編年構築が完了し、「考古最高会議所蔵フスタート出土遺物総合カタログ」の第1巻として、2007年度中に刊行する。対象はフスタート遺跡出土の白磁、青磁、明以前の染付である。 ラスター彩陶器は10万点以上の資料を作成したが、様式分類と編年を作成するにはいたらなかった。この研究に関しては、本研究終了後も研究を継続し、できる限り早い機会に成果を上げるつもりである。 また、土製箱型香炉については、様式分類を確立し、基本的編年を組むことが終了した。 本研究において、中国陶磁器、ラスター彩陶器、ガラス器、土製箱型香炉などの編年の確立が、イスラーム世界と外部世界の文化交流を物質文化の側面から明らかにする資料として重要であることが証明された。
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Research Products
(9 results)