Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 聡 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助手 (60344842)
太田 至 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (60191938)
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (50293585)
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (30275101)
岡倉 登志 大東文化大学, 文学部, 教授 (40129929)
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Research Abstract |
1.地域社会班: (1)トゥルカナ人は,婚資を交渉によって決定し,平均的に大家畜(ウシ,ラクダ,ロバ)30頭と小家畜(ヤギとヒツジ)111頭を新郎側が新婦側に支払う。その交渉と合意を分析した結果,関係者の気前のよさ,交渉の決裂は想定されていないことなどが明らかになった。 (2)ガブラ社会のラクダの信託制度を個人の権利と共同体の秩序という観点から分析した結果,ラクダの所有権は,共同体の安寧を理想とする人びとの人格的関係のなかに深く埋め込まれていることが明らかになった。 (3)レンディーレ社会におけるヤギとヒツジの文化的な位置づけを,行動習性に関する考え方,分類体系と管理方法,犠牲獣や病気治療としての使い分け,畜産物の評価などから分析した結果,冷系のヒツジを既婚男性と女性に,また熱系のヤギを未婚の青年に比定していること,また去勢ウシを重要視するナイル系諸民族とは対照的に,クシ系のレンディーレとガブラがラクダとヤギの未去勢オスとヒツジを儀礼上の要諦としていることが明らかにされた。 2.広域的社会経済班: NARC政権(National Rainbow Coalition:2002年総選挙)は14政党の連立政権であるが,民主党を主体とするキクユ人政権の様相を顕在化し,キクユ人以外の支持者からの全国的な批判をうけ,社会的な危機を一層深刻化していることが明らかになった。 3.GIS/RS解析班: SRTM(シャトル・レーダー・トポグラフィ・ミッション)の北ケニア乾燥地帯への応用研究の可能性が検討された。北ケニアの地形データは分解能の低いDEM(デジタル標高モデル)に限定されてきたが,2004年に分解能の高いSRTMが公開され,地形データ基盤を飛躍的に向上できるようになった。このSRTM成果を標高値,Africover河川データ,水系網などによって精度評価した。結果的に,標高誤差は70.3mとなった。DEMから計算された水系網の評価では,10万分の1縮尺相当の水系網が抽出された。標高の絶対精度に再検討の余地が残されたが,相対精度は良好であった。したがって,北ケニアでは,基盤地図データの整備,地理情報の視覚化,自然環境のモデル化,遊牧民研究への応用が可能であると検証された。
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