2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15252010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 隆宏 東京大学, 経済学研究科, 教授 (90229047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 浩一 東海学園大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (70061075)
関 満博 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90216523)
新宅 純二郎 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00216219)
陳 晋 沖縄大学, 経済学部, 教授 (20341670)
椙山 泰生 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70323467)
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Keywords | 疑似オープン・アーキテクチャ / 非統合型プロセス・アーキテクチャ / 技術的ロックイン / 中国製造業 / 中国家電産業 / 中国オートバイ産業 / 中国自動車産業 / 共生型モデル |
Research Abstract |
平成16年度は、主に、実態調査の継続(主として日経企業の中国および周辺国の生産拠点)と、前半の研究成果のとりまとめである著書「中国製造業のアーキテクチャ分析」の執筆に集中した。後者における主な要点は以下の通りである。 ・オートバイのように本来日本の「擦り合わせアーキテクチャ」製品が支配的であった分野では、多数の中国地場企業によるコピー・改造を駆動力とする「オープン改造競争」が盛んである。 ・その結果、中国のオートバイは「疑似オープン・アーキテクチャ」となる。エンジン等、主要モジュールのレベルでは、局所的な擦り合わせによる差別化の努力も見られるが、車両全体でいえば、擬似オープンの方向での膠着状態は明らかである。 ・家電産業でも、日本ではクローズ・インテグラル・アーキテクチャだった製品を、中国企業がモジュラー・アーキテクチャにしようとする傾向が強い。オートバイとの違いは、多くの中国企業が、コア・コンポーネントを日本企業など外資企業からの調達に依存している点である。中国企業間で完結した「擬似オープン・アーキテクチャ」は成立していない。 ・外資企業中心で発展してきた半導体産業では、設計専業企業,ウエハー前工程、ウエハー後工程といった、工程間で企業間分業が進み、プロセス・アーキテクチャが統合型から非統合型へ移行する傾向が観察される。 ・中国の自動車産業の中でも、製品分野によって多様なアーキテクチャの形態が観察される。すなわち、中型トラックでは巨大国有企業による「クローズ・モジュラー型アーキテクチャ」、小型トラックでは多数の中国地場企業による「擬似オープン・アーキテクチャ」、高級乗用車では外資企業による「擦り合わせアーキテクチャ」、低価格帯乗用車では中国地場企業による「擬似オープン・アーキテクチャ」である。このような多様性は、各製品セグメントにおける発展の歴史的な条件と関係している。 ・中国市場でも、擦り合わせアーキテクチャの日本企業とモジュラー・アーキテクチャの中国企業による相互補完的な共生型モデルが見られる。同じ完成品市場で、高級品は日本企業による擦り合わせ製品、ローエンド商品は中国企業によるモジュラー製品という棲み分けがある。また、上記の家電産業のように、モジュラー・アーキテクチャの完成品を製造する中国企業に日本企業が摺り合わせ・アーキテクチャの部品を販売するケースもある。そのような関係をベースに、日本企業と中国企業が提携関係を結ぶケースも見られる。
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Research Products
(7 results)