2005 Fiscal Year Annual Research Report
地表火が東シベリアタイガの二酸化炭素固定に与える影響評価
Project/Area Number |
15255002
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 邦秀 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80281707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 周一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10333634)
渋谷 正人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10226194)
斉藤 秀之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312395)
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Keywords | 地表火実験 / 火災強度 / 焼失有機物量 / 地温 / 光合成速度 / 土壌水分 |
Research Abstract |
永久凍土地帯の森林で頻発する地表火により火災後数年間で枯死するカラマツ個体が多く、森林生態系の炭素収支に大きな影響を与えると指摘されている。本研究では現地の火入れ実験によりカラマツ樹冠部のガス交換機能を指標に枯死メカニズムの解明を目指した。昨年7月に火入れ処理を行ったカラマツ林試験地で有機物の焼失量を測定した結果、火入れによる各ブロックごとの有機物層の焼失率は13%〜76%、平均で48%であった。これは延焼防止のために早期に消火を行ったためである。この焼失率はロシアにおける既往の報告や現地研究者の経験から火災強度は軽〜中程度の地表火と見なされる。温度記録を解析した結果,火入れ時の地表面の最高温度は485℃,地表下5cmの最高地温は116℃,50℃以上の地温継続時間は約3時間であった。火入れ1年後の樹冠部の光合成や蒸散、針葉の水ポテンシャルは昨年と同様に測定したが,今年度は現地においてロシア側検査機関による日本側機器類の査察が実施されたために,測定開始が7月末にずれ込み,測定回数を大幅に減らさなければならなかった。7月31日以降の光飽和光合成速度は10〜4μmol m^<-2>s^<-1>の範囲で変動し,統計上の有意差は認められないが火入れ処理区で低く,前年の火災直後と異なる傾向を示した。二酸化炭素収支に大きくかかわる火災後の植生回復を2002年に設定した火災跡地で調査した。植生回復は土壌表層の水湿状況や残存母樹の配置などの影響が大きく,湿性土壌では蘚苔類やイネ科草本が優占し,植生の回復も早い。乾性土壌の植生の回復は湿性土壌に比べ遅く,火災後3年目で湿性土壌の約8割弱となっている。カラマツ実生は乾性土壌で2.2/m^2発生しているが湿性土壌では0.2/m^2と極めて少ない。この調査地ではバイオマス量から枯損立木も含めて,森林火災により34〜37tC/haの炭素が放出された。
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Research Products
(5 results)