Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 英昭 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10167190)
屋富祖 昌子 琉球大学, 農学部, 助教授 (50045134)
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
木村 正人 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
高森 久樹 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40188090)
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Research Abstract |
ショウジョウバエ科は,新生代第三紀初頭に出現し,その後,東南アジア熱帯を中心に主要な系統群を分化させ,北半球温帯域に進出していったとものと推察されている.ショウジョウバエ類がたどってきた歴史的,地理的過程は,他の生物群にも共通している部分が多いものと考えられるが,豊富な生物学的情報や研究手法の導入が可能なショウジョウバエ類は,生物多様性成立機構の解明に最も優れた研究材料といえよう.代表者らは,H12-14年度科学研究費補助金基盤A(1)によって,東アジア地域,特に中国南部地域のショウジョウバエ多様性解明に重点を置いた調査を行った.3年間の研究期間で行われた採集調査によって480種の既知種と,それに倍する新種,疑問種の生息が確認され,中国南部を含めた東アジア南部がショウジョウバエ多様性の高い地域であることの確信が得られた.この第1次調査の標本類の解析を継続して行う一方で,本年度からの第2次調査では,調査対象地を拡大し,東アジア地域多様性全容解明を期することにした.初年度は,中国,インドネシア,ベトナムの研究機関を訪問して,本プロジェクトへの協力依頼をおこない,正式な了解を得た.また,各国において予備的な採集調査を行い,得られた標本を解析中である.本研究では,東アジアショウジョウバエ相の理解に加えて,多様性を導いてきた機構についで進化遺伝学的検討を行うことを計画しており,生殖的隔離機構発達の解明のためにD.lini complex, D.virilis sectionを,植物との共進化の解明のためにタロイモショウジョウバエ属を選択している.予備調査によって,タロイモショウジョウバエ属の新種、新分布および新寄主が発見できたなど,今後の研究基盤が確立されつつある.本年度はまた,東アジア南部とのショウジョウバエ相の共通点を探るために,琉球列島においても採集調査を実施した.
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