Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
屋富祖 昌子 琉球大学, 農学部, 助教授 (50045134)
渡部 英昭 北海道教育大学, 札幌校・教育学部, 教授 (10167190)
高森 久樹 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40188090)
木村 正人 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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Research Abstract |
ショウジョウバエ類は生物学的情報の豊富さから,多くの生物群が共通に持つ生物多様性成立機構を解明するための最も優れた研究材料のひとつといえよう.代表者らは,H12-14年度科学研究費補助金基盤A(1)によって,中国南部地域のショウジョウバエ多様性解明に重点を置いた調査を行った.これによって多くの既知種と,それに倍する新種,疑問種の生息が確認され,中国南部がショウジョウバエ多様性の高い地域であることの確信が得られた.H15年度からの第2次調査では,調査対象地域を拡大し,東アジア地域多様性の全容解明を期することにした.本年度は,中国,インドネシア,ベトナムで合計4回の調査派遣を実施し,系統分類学的,進化遺伝学的研究を行った.分布調査,系統分類学的研究に加えて,生態学的側面による進化研究「ショウジョウバエと植物との相利共生的進化」についてベトナムを中心とした調査研究をおこない,興味ある知見が蓄積された.いくつかの近縁種群については種分化初期過程における遺伝的分化と生殖的隔離発達の関連性等についての詳細な検討を行った.さらに,調査で得られた豊富な標本を用いて,分子レベルでの進化遺伝学的研究にも着手した.D.bipectinata complex進化系統におけるADH遺伝子の重複機構についての詳細な検討から,種分化過程で新規遺伝子の創出などDNAレベルでのダイナミックな変化を確認した.数種のショウジョウバエのmtDNA制御領域(A+T-rich領域)の塩基配列についての詳細な解析によって,ショウジョウバエ類を含めた昆虫類の分子レベルでの進化過程を明らかにすることができた.さらに,odysseus遺伝子についての分子系統学的研究によって,本遺伝子の種分化において果たしている重要な役割を認識することができた.
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