2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジャワ島における原人の到来・進化・絶滅のプロセスを解明する形態進化学的研究
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15255010
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 悠男 国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海部 陽介 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (20280521)
河野 礼子 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (30356266)
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Keywords | 人類進化 / 原人 / 新人 / ジャワ / 化石 / 発掘 / CT解析 / 出アフリカ |
Research Abstract |
ジャワ原人の到来と初期の進化史に関しては、下顎骨化石を中心にして研究した論文が専門誌に受理されたことを受けて、とりあえず一段落した。これはジャワ原人の最古の化石群は原始的なのではないかという1940年代からくすぶっていた疑問に、条件つきで肯定的な答を出したものである。これによってジャワ原人と呼ばれる人類集団が少なくとも年代的に一様ではなかったことが示されたが、この成果に対して専門家の間で良い評判を得ている。 ジャワ原人の後半期の進化と絶滅に関しては、平成13年に発見されたサンブンマチャン4号頭蓋骨化石(Sm4)の研究を軸にして進められている。本年度はこの化石との比較データを充実させるため、インドネシアのガジャマダ大学を訪れ、ガンドン出土の末期のジャワ原人化石頭骨全てと、サンブンマチャン出土の頭骨化石2点の詳細な調査を行った。この作業を通じて、ガンドンの化石の多くにある程度の歪みがあり、その形態解釈には注意を要することが判明した。ガンドンについては報告されている計測地を無批判に使用した解析結果の報告が散見されるが、我々は今後、そうしたノイズを取り除いた精度の高い解析を目指す。本プロジェクトでは、まずSm4の正式記載論文を完成させることを優先するが、来年度以降、既存のジャワ原人の頭骨化石全てを視野に入れた、総合的研究に発展させていく予定である。 比較データの採取と同時進行で、ガジャマダ大学が所蔵する中部ジャワのサンギラン出土の頭骨化石10点について、特別の許可を得て精密模型を作成した。これらの模型を研究室でじっくり観察することによって、来年度に予定する実物化石の精査に備える予定である。 なおこれまでの研究成果の一部は、本年度のアメリカと日本の人類学会、およびスペインやオーストラリアでのセミナーなどで発表した。
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[Journal Article] Frontal bone fragment of Homo erectus from Sangiran, Java2004
Author(s)
Baba, H., Aziz, F., Narasaki, S., Sudijono, Kaifu, Y., et al.
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Journal Title
Human Evolution 19(3)
Pages: 197-202
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[Journal Article] Taxonomic affinities and evolutionary history of the Early Pleistocene hominids of Java : Dento-gnathic evidence
Author(s)
Kaifu, Y., Baba, H., Aziz, F., Indriati, E., Schrenk, F., Jacob
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Journal Title
American Journal of Physical Anthropology (in press)
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