2003 Fiscal Year Annual Research Report
アマゾン川流域およびギニア高地における木本植物の進化と木部形態形成
Project/Area Number |
15255016
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福島 和彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (80222256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 剛 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00023482)
戸丸 信弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (50241774)
山本 浩之 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (50210555)
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111483)
|
Keywords | アマゾン / ギアナ高地 / テーブルマウンテン / リグニン / 熱帯雨林 / 木部 / 形態形成 / 成長応力 |
Research Abstract |
遺伝子資源の宝庫であるアマゾン川流域および植物が独自の進化を遂げてきたギニア(ギアナ)高地における木本植物(おもに被子植物)の木部形態形成に関し、材利用の観点から材質を左右する因子に焦点をあて、環境適応と遺伝学的分類の両面から知見を得る目的で現地調査をおこなった。本年度は、実験フィールドと調査樹種の選定を2回(9月、3月)に分けておこなった。その結果、ギアナ高地では、ロライマ山、クケナン山、アウヤンテプイがサンプリング候補地として適し、ツバキ科植物の遺伝情報を収集・解析することが可能であることが示された。また。マトグロッソ州においては、熱帯雨林、サバンナ、湿地帯の州林、および民間林を実験フィールドとして提供、マトグロッソ連邦大学における研究支援の確約を得ることができた。これは、マトグロッソ州政府とマトグロッソ連邦大学との協定に基づくものであり、次年度以降の本格的な調査・研究の道が開かれた。 さらに、ブラジル温帯人工林の有効利用に関する研究にも着手した。パラナ州の荒廃地を中心に各種ユーカリによる人工林の造成が行なわれつつあり、一部地域では伐採時期に達している。しかしながらこれら人工林樹種を利用する際には、高い成長応力(残留応力)が引き起こす製材障害を克服しなければならない。製材障害は、家具・建築部材としてとくに高い需要があるEucalyptus dunniiにおいて深刻である。この課題の解決に向けては、萌芽抑制剤(Chopper)による樹幹内残留応力低減効果が有効であることが知られている。そこで予備実験として立木に微量注射したところ、1ヶ月間で表面成長応力が60%程度にまで減少することが、現地測定において明らかになった。このことは、ブラジル温帯人工林の単位面積あたりの実質の2酸化炭素固定量を飛躍的に増大させることに繋がる技術として期待される。
|