2005 Fiscal Year Annual Research Report
赤道アフリカ農村におけるモラル・エコノミーの特質と変容に関する比較研究
Project/Area Number |
15255018
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 義仁 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20170954)
末原 達郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (00179102)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
池谷 和信 国立民俗学博物館, 助教授 (10211723)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 講師 (60340767)
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Keywords | 赤道アフリカ / モラル・エコノミー / 農牧民 / 再生産 / 生存維持性 / 互酬性 / 一般的互酬性 / 価値意識 |
Research Abstract |
第3年度の主要な研究成果は以下の4点に要約することができる。 1.これまでの研究の昨年に続く第2回目のまとめの場として、タンザニア・ソコイネ農業大学に海外共同研究者のハイデン、デボラ、ルタトーラ教授を招き、日本側、タンザニア研究者総勢30名で、アフリカ・モラル・エコノミーを地域比較の視点から検討する国際シンポジウムを行い、アフリカのモラル・エコノミーの現代化特質を学際的な視点から検討するとともに、現金生活が常態になる中での「生存維持性」の意味論をより詳細に検討していく必要性を今後の研究方向として共有した。 2.アフリカ農民の経済特性として、互酬性などのモラル・エコノミーが生産の場よりも再生産の場において強く表れる点を下記の研究によって明瞭にさせた。一つは、タンザニアの海岸地域周辺のエスニックグループ成人儀礼の分析。もう一つは内陸部のサガラなどにおいる結婚式の社会経済的意味と、住民にとっての価値意識のあり方であり、こうした側面からのアフリカモラル・エコノミーの特質の検討の必要性が共有された。 3.アフリカ農民の生業特性として「農」よりも「牧」に価値を置くような農・牧民的特質がひろく見られるとともに。牧は「婚資」などとして利用されることを通して、生産よりも再生産に価値意識を有するモラリティの特性を支えていることである。これらは、タンザニア・カメルーンにおける農民と牧畜民の研究を通して明らかにされ、今後の研究課題として共有化された。 4.アフリカ農民の平等主義的倫理の特性と一般的互酬性的な特質であり、これまでの狩猟・採集民研究、牧畜民研究との比較に加えて漁労社会との比較を行うために、タンザニアの海岸部において鶴田が漁民のモラルエコノミーを研究した。
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Research Products
(7 results)