2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける農業機械設計概念の特質に関する調査研究
Project/Area Number |
15255019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小池 正之 筑波大学, 農林工学系, 教授 (60032306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 具弘 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (00236382)
牛島 史彦 九州女子大学, 文学部, 助教授 (10258345)
堀尾 尚志 神戸大学, 農学部, 教授 (00031229)
川上 昭太郎 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (30256648)
真板 秀二 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (50015864)
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Keywords | 東南アジア / 農業機械 / 設計概念 / 技術受容 / 技術移転 / 技術普及 / 在来農具 / 技術史 |
Research Abstract |
平成15年度は、研究代表者及び研究分担者全員がフィリピン1回、タイ2回の現地調査を行い、在来農具の設計概念に関する諸資料の収集と分析を試みた。得られた研究実績の概要は、以下のとおりである。 1.フィリピン・ヌエバエシハ州西部の農村集落を調査地として選定し、在来農具の設計仕様データの収集を行った。畜力から機械力へと推移した過程での、技術受容構造について検討し、設計概念に求められる在地技術に現われている具備条件の確定作業を行った。 2.島嶼という地理的特質、農民の精神構造と技術受容の形態との間に相互に影響し合う要因の摘出とその社会科学的発現理由について、考察した。 3.鍛冶産業の問題点と改善策についても検討した。局地的にコンバインを導入した農業機械化の推進気運が認められる一方で、鍛冶産業は自立経済と民族的工業化の象徴的存在とみなされ、生産品目の多角化により存続を図っていることが分かった。さらに鍛冶産業は、前方連関効果として農業や他の産業を、後方連関効果として地域の炭生産を支えていることが確認できた。 4.タイの調査地はコンケン南部の集落とし、農民に対して本格的な聞き取り調査を行った。畜力用在来犂の調査項目は、はつ土板の耕起特性角度、曲面部の曲率、犂柱部の材質と形態的特徴等であり、犂本体の設計概念を含め工学的特徴を記述しうる設計変数の特定を試みた。 5.調査地周辺の人口密集地では、鍛冶屋の存在が認められた。刃金を鍛接して硬度を増す製造技術は、文化と技術を材料とした民俗誌なる「作品」を再構築する創造的作業においてどのような位置づけとしうるのか、学際的視点からの考察を行った。 6.在来の犂の材料の調達経路と販路について、過去30年に遡って、主に聞き取りと文献資料に基づく調査を行い、分析した。
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