2004 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋・極北地域のモンゴロイド集団の免疫遺伝学的研究
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15256002
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田島 和雄 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 部長 (30150212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 建志 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 主任研究員 (50270989)
園田 俊郎 鹿児島大学, 地域共同研究センター, 客員教授 (40036463)
嶽崎 俊郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50227013)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部, 講師 (70197622)
妹尾 春樹 秋田大学, 医学部, 教授 (90171355)
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Keywords | モンゴロイド / HTLV-1 / HBV / HCV / 脂質代謝酵素 / ネネツ族 / 民族疫学 |
Research Abstract |
世界の諸民族におけるヒト白血病ウイルス(HTLV-I)、およびB型肝炎ウイルス(HBV)の流行分布から環太平洋地域のモンゴロイド集団の免疫遺伝学的な特性を把握するため、今年度は調査対象地域を西北ロシアの極北地域に定めた。ロシア科学アカデミーの許可のもと、アルハンゲリスク大学のスタッフ6名と共に、ネネツ自治区の北部海岸地帯の中心に位置するナリヤンマル町の周辺地域で調査を実施した。町の中心から約40km東にあるクロスネ地区(気温-20〜40度)において、診療所訪問患者、あるいは診療所周辺居住者のネネツ族を対象に調査し、Informed Consentを得た対象者約109名から約10ccの血液を採取した。採血した血液は診療所において血漿とBuffy Coatに分離し、ナリヤンマルのホテルの冷凍庫で保存、約3日間の調査を終えて、全検体をアルハンゲリスク大学の実験室に持ち帰った。まず、HTLV-1、およびB型、C型肝炎ウイルスの感染状況を検索した。抗HTLV-1抗体は全員陰性で感染者を認めなかった。しかし、抗HCV抗体は3例、抗HBVs抗体については30例の陽性者(28%)を認めた。しかし、HBV抗原は全例が陰性だったのでHBV亜型に関する検索は不可能であった。 今回の西北ロシア地域の野外調査ではサーメ族と同様に極北地域のモンゴロイド集団におけるHTLV-1の流行軌跡を認めなかった。今後は環太平洋地域におけるモンゴロイド集団を対象とした最終野外調査として、極北モンゴロイド移動の最東端とも考えられるグリーンランド東海岸に居住するイヌイット族を対象とした調査研究を計画している。また、獣肉・油脂を中心とした極北地域住民の食生活習慣の適応性について民族疫学的見地から検討するため、極北先住民族から採取したDNAを用い、脂質代謝・輸送に関連する酵素群の遺伝子型の特性について合わせ解析する。
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Research Products
(13 results)