Research Abstract |
人間が話し言葉で情報を説明するとき,小さな発話単位により情報を漸次的に伝え,受け手の反応に応じて説明を構成していく.本研究は,このような特徴を持つ説明を動的説明と呼び,計算機による動的説明法に関する技術の高度化を目的とする. 情報説明の従来研究は書き言葉による説明であり,方法も研究により異なって,一般性も明らかでない.話し言葉による説明では,交通経路案内を対象にした研究があるが,その技術は単純な説明をするレベルであり,様々な説明を可能にするための研究が必要である.そのような観点から,本研究は,言語コミュニケーションの情報処理モデルに関する知見を獲得し,人間に親しみやすいインターフェイス技術の確立に向けて,情報の動的説明を取り上げ,説明対話の収集・分析,話し言葉による談話の構成法,受け手の発話の解釈法,説明の動的構成法などを研究する. 今期は,説明対話の収集・分析,話し言葉による談話の構成法,説明の動的構成法を主に研究を進めた.コーパスに関しては,PCソフトの使用法の説明対話,交通経路案内などの対話を説明の仕方を変えて約30対話収集した.分析に関しては,過去に収集した交通経路案内対話および臨床検査データの説明対話を対象に,対話を小さな談話構造に分割し,さらに小さな発話単位に分割し,対話行為を付与した.話し言葉による談話の構成法に関しては,基盤化をベースに小さな談話構造を定義し,小さな談話構造を発話単位のパターンにより捉えるモデルを検討した.説明の動的構成法に関しては,臨床検査データの説明のような対象を扱うために,一つの対話行為のレベル自体を小さな説明構造により形成するモデルを検討した.
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