Research Abstract |
人間が話し言葉で情報を説明するとき,小さな発話単位により情報を漸次的に伝え,受け手の反応に応じて説明を構成していく.本研究は,このような特徴を持つ説明を動的説明と呼び,計算機による動的説明法に関する技術の高度化を目的とする. 情報説明の従来研究は書き言葉による説明であり,方法も研究により異なり,一般性も明らかでない.話し言葉による説明では,交通経路案内を対象にした研究があるが,その技術は単純な説明をするレベルであり,他の様々な対象領域などに対応できるようにするためには,一般化する研究が必要である. 一般的なモデルを求めるため,データの収集,分析,モデル化に力点をおき,話し言葉による説明対話データの収集,対話データの対話構造の分析,話し言葉による説明対話の対話構造のモデル化,その一般化,モデル化に関する実験,評価等を行った.話し言葉による説明対話データの収集に関しては,健康診断結果を医者が受診者に説明する対話を10件収録し,書き起こした.対話構造の分析については,これまでに提案し研究してきた局所対話構造に基づいて,対話行為および対話構造のタグ付けを行った.一部,修辞構造理論に準拠したタグも付した.これらの分析は,以前に収録した健康診断結果の説明対話23対話が対象である.局所対話構造をモデル化するため,分析コーパスを用いて局所対話構造の書き換え規則を抽出した.対象は交通経路案内対話および臨床検査データの説明対話の2種類の対話である.また,分析量の少なさを補うため,対話の特徴に基づいて,規則を一般化する方法を提案した.規則の有効性をみるため,経路案内対話から抽出した規則により対話構造の解析を試みた.今後,コーパスや分析量を増やすこと,規則の一般化などが必要である.
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