Research Abstract |
1.部分空間法ロバスト化の理論: 部分空間の構成,部分空間への射影,距離系の3つの観点から,従来の部分空間法をロバスト化に関する理論的枠組みの構築を目指して研究を進めている。まず,部分空問の構成および部分空間への射影に関しては,正規化固有空間の同次表現である同次固有空間を用いた定式化を従来行ってきた。また,部分射影のロバスト化については,相対残差の使用を提案し,正規化固有空間との整合性を確認している。これに加えて,今年度新たに,同次固有空間における類似度の取扱いについて検討を進め,進展があった。即ち,従来の画像空間および正規化画像空間で定義されていた類似度とは別に同次画像空間内に類似度を定義でき,これが画像の新たな距離尺度として利用可能であることを見出した。今後,この類似度の特性を理論的に分析するとともに,従来の類似度との関連についても分析していく。 2.顔認識処理への適用: 顔認識については,従来独立に提案してきた固有顔の直交分解と並列部分射影を組み合わせることにより,照明変動に対してよりロバストな顔認識系を,登録画像数が少ない場合にも可能であることを確認した。また,この組み合わせにより,登録画像数の増加により認識性能が向上を確認した。また,顔画像追跡に関しては,昨年度提案した疎テンプレートマッチング法とコンデンセーション法を組み合わせた実時間追跡(疎テンプレートコンデンセーション法)については,処理の安定化と高精度化に関して進展があった。引き続き,自然環境下での実時間顔姿勢推定/追跡の実現を目標として研究を進める。 3.人物追跡処理への適用: 昨年度,疎テンプレートコンデンセーション法に基づく多人物同時追跡を提案し,基本的な機能を確認していたが,その安定化と高速化について進展があった。今後,背景情報を利用した実時間追跡の効率化と部分空間の自動更新の検討を進める。
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