2005 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット空間における倫理行動の構造に関する国際比較調査による実証研究
Project/Area Number |
15300080
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Research Institution | The University of the Air |
Principal Investigator |
奈良 由美子 放送大学, 教養学部, 助教授 (80294180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏倉 康夫 放送大学, 教養学部, 副学長 (30283576)
伊勢田 哲治 名古屋大学, 情報科学研究部, 助教授 (80324367)
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 助教授 (70347053)
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Keywords | 情報倫理 / 日常倫理 / 信頼 / インターネット / リスク / 経年変化 / 国際比較 / アンケート調査 |
Research Abstract |
本研究は、インターネット空間と日常生活における倫理についての人々の意識・行動の実態を明らかにし、さらに個人の属性(性格特性、利用頻度、インターネット特性への認知等)の効果について、質問紙を用いた社会調査によって解明することを目的としている。本研究は、日本、米国、シンガポールについての国際比較研究であり、同時に14年3月実施のFINE調査票をベースとした継続調査でもあるため、経年変化の把握も行う。 17年度にあっては、16年度の実査で得られた調査データの分析・考察を行った。インターネット上での情報倫理に関する問題行為についての経験は、前回調査同様、日本ではほとんど見られず、米国、シンガポールでは特定の項目で経験者が見られる。その一方で、「チャットやBBSで困っている人を助けてあげる」という推奨的行動では、日本に比べて米国、シンガポールのほうが積極的に行っている。いずれの国においても、前回調査と同様、日常倫理と情報倫理の間に正の相関が認められ、その相関は米国において最も強い。また、日常倫理、性格特性、利用頻度・リテラシー、インターネット特性への認知といった変数の情報倫理への効果は前回調査とほぼ同様に見られたものの、今回調査ではシンガポールが米国の傾向に全体的に近づいていることが認められた。さらに今回調査では、問題発見支援ツールKeyGraphを用いて前回調査データから抽出した「信頼」概念についての新たな質問を加えている。結果としては、インターネット上での一般的信頼の程度は米国で最も高い。また、インターネット上でのひととの協力関係は、米国、シンガポールと比較すると、日本においては希薄である。インターネットの有用性およびリスクを認知していることと一般的信頼の高さ、さらには情報志向性とは相関があり、社会的不確実性の高い空間での自己責任の重要性と可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)