2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15300085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 陽太郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20197122)
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Keywords | 外国語副作用 / 外国語 / 日本語 / 注意 / 二重課題法 / 思考 / 内言 / 言語情報処理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国語副作用が日常的な場面でも生じるかどうかを調べることです。 不慣れな外国語を使用している最中は、一時的に、思考力が低下した状態になります。これが外国語副作用です。研究代表者は、言語課題と思考課題を同時に遂行する二重課題実験によって、外国語副作用が実際に生じていることを立証しました。しかし、その実験では、日常場面でも外国語副作用が生じているのかどうかを推定するためには、1つ問題が残されていました。それは、思考に伴う内言の問題です。日常的な場面(例: 会話、討論)では、思考は内言を伴う可能性が強くなります。その内言は、通常、使いやすい言語、すなわち母語であると推定されます。外書で母語を使用する場合には、内言と外書が同じ言語なので干渉が大きくなり、思考力の低下が増大します。そうなると、外言が外国語の場合と差がなくなり、結果として、外国語副作用が消失するという可能性が考えられます。 本研究では、思考が内言を伴う場合、外国語副作用が消失するか否かを実験的に検討しました。注意の集中を要する二重課題実験を精密におこなうために防音ブースを購入し、その中で、新たに購入した電算機とMD再生装置を使用して実験をおこないました。言語課題としては、先の実験に用いた質問回答課題を使用しました。思考課題としては、今回新たに4種類の知能検査から言語性知能を測定するための問題を抜き出して使用しました。この思考課題には内言処理が伴うことが確実に推定されます。実験の結果、言語課題を外国語(英語)で行った場合は、母語(日本語)で行った場合に比べて、思考課題の成績は有意に低下していました。従って、思考課題が内言処理を伴う場合にも外国語副作用が生じることが実験的に確認されました。
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