2004 Fiscal Year Annual Research Report
母子間相互作用における2個体脳活動同時計測とその力学系シミュレーションモデル
Project/Area Number |
15300086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池上 高志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10211715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30323455)
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Keywords | 母子間相互作用 / 非侵襲脳活動計測 / 力学系 / 共同注意 / 神経ネットワーク |
Research Abstract |
実験側と理論側で、並列的にしかし相互に話しながら以下のような成果をあげることができた。 実験側:母子間相互作用場面における脳活動計測に関しては、ダブルTV環境を構築し、実験者(未婚女性)と乳児(4ヶ月から5ヶ月児)との相互作用場面における,乳児の側のEEG計測に着手した.これに先だって行った行動実験では、相互作用における時間的要因を映像・音声遅延装置も用いて操作し,ライブ(遅延無し)条件と遅延(4秒遅延)あり条件で,乳児側の注視時間,表情を分析した.7名の乳児を対象とした実験・分析の結果,遅延条件ではライブ条件と比較して注視時間が少なく,また,微笑の頻度も少ないことが明らかになった.同様の実験環境を用いて,現在行っているEEG計測では,予備的に周波数解析を行い,20Hzから40Hzの帯域で,条件間に差がみられている.ダブルTV実験と並行して,健常成人および乳幼児を対象とした,高密度脳波計を用いた事象関連電位(ERP)や近赤外分光法(NIRS)による脳活動計測を行い:(1)単純反応課題における模倣の効果(ERP実験,成人)(2)乳児のバイオロジカルモーション知覚(ERP実験,乳児,成人)(3)遅延自己映像認知の脳内機構(NIRS実験,成人)(4)乳幼児の遅延自己鏡映像認知(行動実験,乳児・幼児)といった研究項目を実施した。 理論側:空間上を動き回る移動体に神経ネットワークを搭載し、環境と相互作用することでつくり出すカテゴリーの仕方、動的なカテゴリー、という概念を確立した。具体的には、局所的に接触することでモノの形を判別する、あるいは光源の振動数を弁別するといった課題が運動の生成としてどのように解かれるか、という計算機実験を行なった。それをもとに移動体の間の相互作用を解析し、移動体のつくりだす運動のスタイルに注目してコミュニケーションの理論作りを行なった。それを母子間相互作用でベースとなる協同注意の問題と対照させて議論し、発表した。
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Research Products
(26 results)