2006 Fiscal Year Annual Research Report
動作の観察・模倣とその理解に関わる脳機能の非侵襲的解明研究
Project/Area Number |
15300111
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西谷 信之 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00360678)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 動作 / 模倣 / 脳磁場計測 |
Research Abstract |
良好なソーシャル・コミュニケーション(SC)の確立と維持には、言語以外に他人の表情・動作などの認識と理解が不可欠である。 本研究の目的は、相手の言動・表情の意図の理解、すなわちSCに関わる脳機能とその脳内ネットワークを非侵襲的に解明することである。 最終年度においては、(1)他者の動作の認識とそれに対応した動作の選択に関わる脳内機構の解明研究、および(2)認知機能障害における動作の観察・模倣とその理解に関わる脳病態の解明研究を、脳磁場計測装置MEGを用いて非侵襲的に実施した。 前者の研究には、視線の動き・その方向と、標的の有無・標的位置との関係を、脳活動の相違において明らかにした。その結果、V5/MT領域の活動の大きさと視線方向の認知との間には相関は認められなかった。一方視線方向と標的出現位置の一致・不一致に関連する脳活動部位は、本研究代表者の口唇形状の観察・模倣課題を用いた先行研究におけると同部位(上側頭溝・下頭頂部・後下前頭部・一次運動野)に活動を認め、ヒト・ミラー・ニューロン・システム(HMNS)の活動を確認した。視線方向と標的出現位置の一致・不一致で比較した場合には、一致の場合HMNS活動が有意に増大していた{International symposium on social cognition as a higher brain function (Japan, August,1-3)にて発表}(投稿準備中)。 後者の研究では、認知機能障害者を対象に指形状の観察・模倣を課題として、HMNSの活動強度を明らかにした。その結果、認知機能症状の重度に呼応して、HMNS活動が低下する傾向が認められた(投稿準備中)。 以上の結果は、視線方向がHMNS活動を介してSCに影響を及ぼしていることを、さらにHMNSの活動評価により認知残存機能の評価が可能であることを示唆していると考えられた。
|
Research Products
(3 results)